技術のバリエーションで
「天井を守る」

 「墜落事故を避けたければ飛行機を飛ばさないことだ」と同じ理屈でいえば、「天井を落とさないためには天井を造らないこと」になる。清水建設で天井耐震化の技術開発を主導している櫻庭記彦・設計技術部技術グループ長も、「それも一つの具体的なアイデア。まずは常識を疑え、からです」と言う。しかし同時に、「空調や室内空間の美しさの確保などの理由でやはり天井は必要ですし、吊り天井のメリットも捨てがたい。用途の違うさまざまな施設で、それにふさわしい天井の耐震化技術を提供するのが建設会社の責務です」と語る。

 清水建設の場合、東日本大震災以降、いち早く天井の耐震化に着目し、開発に着手した。一つの技術で全ての課題を解決できるわけではない。だからこそ改良や周辺に派生させた多様な技術を提供する。施工性、耐震性を兼ね備えたSDクリップレス天井やリニアブレースなど、吊り天井に限らず主なものだけでも12の天井耐震化技術を実用化。新築への適用は当然として、東大安田講堂やホテルニューグランドを始めとする、多くの既存施設の天井を耐震化してきた。

 櫻庭グループ長は、「耐震化工事中に事業を中断しなくてもよいような工法を編み出したり、それが無理ならば極力工期を短くし、かつ工費も安く済む工法にする。もしお客さまが何らかの理由で耐震化工事をためらわれているのであれば、それは私たちがニーズに応える技術を提供できていない、ということなのです」と言う。

 ワンランク上の安全と安心を届けるために、天井裏に隠されているBCPの鍵を探して先を読み、常に挑戦し続ける。これも清水建設のコーポレートメッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」の一つの現場だ。

 今、あなたの頭の上はどうなっているだろうか。

問い合わせ先
清水建設株式会社
ホームページ:http://www.shimz.co.jp/