人生にお金は不可欠だ。お金を効果的に生かすためには、資産形成と資産運用をうまく使い分けなければならない。前者は「長期・積立投資」、後者は「計画支出・分散投資・夢のすり合わせ」でリスクを抑えられる。

神戸 孝
ファイナンシャル・プランナー FPアソシエイツ&コンサルティング 代表取締役 早稲田大学法学部卒業。三菱銀行、日興證券を経て、1999年にFPアソシエイツ&コンサルティングを設立。独立系FPとして個人・法人等のコンサルティングや各種講演会・研修会講師などを行う傍ら、全国の独立系FPのための支援ビジネスも展開。著書も多く、3月には『女性のための個人型確定拠出年金の入り方』(KADOKAWA)を出版。

 資産形成期と資産運用期のどちらでも「まずやるべきことは、金融資産の分別」だと語るのは、ファイナンシャル・プランナーの神戸孝氏だ。

 ライフプランを明確にして、収入と支出を想定したキャッシュフロー表を作る。次に金融資産を日々使う「生活資金」と、教育資金や住宅取得資金のように10年以内に使う予定のある「ゆとり資金」、老後に備える「残す(増やす)資金」の三つに分ける。

 資産形成はこのうちの「残す資金」で行う。

資産形成には
長期の積み立てを

 子どもの教育資金や住宅ローンなど、支出がかさむ現役世代は「できる範囲で積み立てること。そして子どもが小さいうちと、子どもが独立した後の“貯め期”に頑張ることが大切」だという。

 その際の積み立てには、「長期的に考えて値上がりが期待できる投資対象を選ぶこと。1カ月後の値上がりを当てにいくのは“投機”であり、投資ではない。投資信託の積み立てであれば、値下がりが続いても、その間、口数は増えていくので、最終的に多少の値上がりがあれば大きな利益になる」という。

 値下がり=損失=リスクと捉えがちだが、投資の世界では“振れ幅(ブレ)”の大きさをリスクといい、値が大きく上下する可能性がある商品を「リスクが高い」と表現する。この振れ幅は、長期投資と分散投資(国内外の株式、債券、不動産など値動きが異なる対象に投資すること)でコントロールできるので過剰に恐れる必要はない。