企業では事業継続計画(BCP)の策定とともに、節電対策が喫緊の経営課題になっている。クラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」を提供するIIJでは、自社システムと同様のIT環境で利用できるクラウド基盤やアプリケーションサービスを提供。サーバとパソコンの仮想化など、節電対策とBCPの「一石二鳥」を提案する。
BCP対策としてクラウドサービスを利用する場合、大きく分けて三つのやり方がある。第一は、既存の社内システムはそのまま自社で運用し、ディザスタリカバリ(DR)サイトのみクラウドを利用する方法。通常時はバックアップに必要なストレージなどといったITリソースのみを利用し、有事にはシステムリソースを拡張するなど、クラウドの特徴を生かした柔軟な運用が行える。
第二の方法は、社内システムを全面的にクラウドへ移行する形態である。災害に強い堅牢なデータセンターでシステムを運用できるうえに、IT資産を自社で保有しないため、システムの運用管理や更新などの手間が省ける。
社内システムと同様の
環境でクラウドを活用
一方、既存のIT資産の償却がすんでいないなどの理由で、すべての社内システムを一気にクラウドへ移行できないケースもある。
その場合は両者を混在させる第三の方法となる。「社内システムの一部をクラウドに移行しつつ、既存のIT資産を個別ラックに収容し、クラウドサービスと相互接続するといった使い方も、『IIJ GIO』ならば可能です」と、IIJ GIOマーケティング部の小川晋平部長は説明する。
これまで、クラウドの利点を理解しても、なかなか導入に踏み切れない企業が多かったようだ。だが、「BCPと節電対策の観点から、企業の引き合いが一気に増えています」と、小川部長は震災後の変化を語る。自社でシステムを運用すると、サーバやストレージ、パソコンなどのIT機器に加え、サーバルームの空調設備を含めた災害・節電対策も必要になる。
そこで、自社のサーバルームの代わりにクラウドを利用する動きが活発化しているという。とはいえ、クラウドをビジネスでフルに活用するためには、考慮すべきポイントがある。
国内外の事業者が提供しているクラウドサービスは、インターネット経由で利用するタイプが一般的である。これに対し、IIJ GIOはインターネット経由だけでなく、専用線など社内ネットワークを介しての利用ができる(図1)。
社内のプライベートIPアドレスをそのまま使ってクラウドサービスを利用できるため、「企業はクラウドへ移行する際、システム移植コストを削減できます」と、小川部長は利点を説明する。