「正解なき時代」を皆で乗り超えていく

――おっしゃるとおり、今の時代は、「正解なき時代」だと言えます。では、それを乗り超えるために何が必要だと思われますか?

 私は、それが『貢献力』だと思っています。貢献力とは、簡単に言えば「つながり、学び、支えあう力」です。バラバラになっている個々の知を結集させ、皆で立ち向かう仕組みを指します。

 世の中が複雑化した今、いつ何時、想定外の困難が降りかからないとも限りません。個人や、個々の組織が独力で乗り超えられない壁に直面することも多くあるでしょう。そんな正解なき時代だからこそ、あらゆる知恵を総動員する必要があります。

 一人ひとりがコミュニティに貢献し、全員が力を合わせる時代――それが今であり、その最大のカギとなるのが『貢献力』である。私はそう考えています。

――では、その『貢献力』を浸透させるべく、具体的にどのような取り組みをされていますか?

 大きく分けて2つの取り組みがあります。まずひとつはボトムアップ型。つまり、社員発による貢献活動です。コミュニティの活性化を目指した社内SNSをはじめ、様々な取り組みがありますが、いずれも社員が自主的に運営しているものです。

 そしてもうひとつはトップダウン型。社員が貢献力を十分に発揮できるためのインフラづくりです。そこには人事制度も含まれます。貢献力を取り入れた評価制度や、貢献表彰制度なども行なっています。

人と組織、社会の新たなエンジンに

――『貢献力』が人と会社を元気にする、そうお考えですか?

 そのとおりです。正解なき時代では、個人や個々の組織だけでは答えを出しにくい時代です。だからこそ多くの人とつながり、学び、支え合う。自分のためでなく誰かのために、一緒に考えることで答えが見つかる。これからの時代は、そういう貢献力型の人材が成果をあげ、プロフェッショナルになっていく。

 そもそも「誰かの役に立ちたい。そして自分も成長したい」というのは、人間の自然な欲求なのですから……。そうした一人ひとりの貢献マインドを育て、組織の力に変えていくことが重要です。

 企業は、利益を生み出す機関であると同時に人材育成の機関でもあります。社会に貢献できる人材の育成こそ企業の最大の役割である、そう考えるようになりました。

 だからこそ『貢献力』を掲げ、人と組織、そして日本社会全体の新たなエンジンとなるような貢献力型人材の育成を続けていきたいと考えています。