日本大震災後に広まった自粛ムードにより海外・国内とも旅行者数が落ち込み、観光産業は大きな打撃を受けた。しかし、手控えの反動もあり、夏休みを前に回復の兆しがうかがえる。2011年夏秋の最新旅事情をご紹介しよう。

 節電対策の一環で企業の夏期休暇は、分散・長期化の傾向にある。こうした動きに伴い、旅行会社各社が長期滞在型のツアーを発売しているのが今年の流れだ。たとえば、国内であれば北海道や沖縄などへ7日間程度滞在する旅、海外ではアジアやハワイで1週間以上ステイする「ロングバカンス」と題したツアーなどが売り出されている。

夏祭りで東北を応援
新世界遺産にも注目

 従来、企業の夏期休暇は8月中旬のお盆に集中しており、この時期は旅行代金が高騰、交通機関の混雑もピークとなっていた。しかし今年は、時期が分散化したことで予算を抑え、混雑を避けることが可能だ。また、長めの休暇を活用してヨーロッパを周遊したり、リゾートに滞在するなど、憧れの「ゆとり旅」も実現できる。海外旅行は円高で旅行代金に割安感があることも追い風といえるだろう。

 2011年夏、おすすめの旅先は、国内なら3大祭りをはじめ盛大な夏祭りがあちこちで開催される東北(下記参照)。旅行会社各社は、被災地への支援と旅行需要喚起を目的に、東北の夏祭りを中心とした旅行に力を入れている。東北応援ツアーも複数の会社が企画、販売中だ。

 国内外の世界遺産も大人の旅先としてふさわしい。6月下旬に「平泉の文化遺産」(岩手県)と「小笠原諸島」(東京都)が新しく世界遺産に登録された。 平泉は震災の影響がなく、観光客向けの店も通常通り営業しているが、団体ツアーや外国人客が減少し、ゴールデンウイークの旅行者数は例年に比べ大きく落ち込んだ。こうした状況下で世界遺産登録は明るいニュース。岩手県知事も「復興への象徴になる」と期待を寄せている。

勇壮な青森ねぶた祭。仙台七夕、秋田竿灯とともに東北3大祭りに数えられる
今年こそ訪れたい
東北の夏祭り


東北の夏を彩る祭りは、7月末から8月中旬にかけて数多く行われる。今年だからこそ東北の文化を体感し、郷土料理を味わい、人々とふれあう旅をしてみたい。

◎東北の夏祭りのポータルサイト : http://www.tohokumatsuri.jp

7/31~8/ 4    八戸三社大祭(青森)
8/ 2~ 8/ 7     ねぶた祭(青森)
8/ 3~ 8/ 6    竿灯祭(秋田) 
8/ 4~ 8/ 8    五所川原立佞武多(青森)
8/ 5~ 8/ 7    花笠まつり(山形)
8/ 6~ 8/ 8    仙台七夕祭り(宮城)
8/16~8/18    西馬音内盆踊り(秋田)
8/19~8/20    花輪ばやし(秋田)