したがって、どのメーカーのどういった製品を選ぶのかによって、使用感に並々ならぬ差が出てくることは避けられないといえよう。それだけに、「広州国際照明展覧会」の会場内を見学する来場者たちの眼差しは真剣そのものだった。
あまりに会場が広く、時間的余裕がないこともあってか、来場者の多くは特に訴求ポイントに魅力を感じなければ足早に通過してしまう。にもかかわらず、頻繁に黒山の人だかりが発生していたのが、総合半導体メーカー、ロームが設けたブースだ。

同社は日本におけるカスタムLSIのトップ企業として知られるが、じつはすでに1973年からLEDを手がけてきた。そして今日では、照明メーカーや家電メーカー、産業機器メーカーなどに、チップLEDや、関連するLEDドライバ、電源モジュールなどを供給している。
「昨年の展覧会でも関心は高かったのですが、今年はすぐさま具体的な商談に発展するケースも見られますし、非常に引き合いが多いことに驚いています」
満足げな笑みを浮かべるのは、同社モジュール・ライティング生産本部モジュールFAE課の永島光典課長だ。ロームの強みは、チップLEDはもとより、関連モジュールや照明器具まで幅広く開発・生産していること。LED分野の川上から川下まで網羅する企業は、世界的にもほとんど例を見ない。

そのうえ、どの工程においても世界トップクラスの開発・技術力を有している。意外と知られていないが、ロームのLED製品を使用しているという出展企業も少なくないのだ。
ロームの先進的なテクノロジを象徴するのが、世界最小・最薄の超小型LED「PICOLED(ピコレッド)」だ。光度を落とすことなくLEDパッケージ容積・質量の大幅削減を達成している。

「身近なところでは、携帯電話背面のイルミネーション表示などに用いられています。小型化による高密度実装で、微細な表現が可能です」(永島課長)