液晶テレビ向けの
バックライトにも供給

もちろん、ロームが得意とするのは小型化だけにあらず。たとえば液晶テレビのバックライトでも、「エッジライト型」と呼ばれる方式のLEDモジュールで強みを発揮している。
液晶テレビは、液晶自体が自ら発光するのではなく、従来はその背面からCCFLで照射していた。

写真は実際のエッジライト。メーカー側からの要求精度は非常に高い。一定品質のチップを揃え、それを等間隔に加工する技術を持つ企業は限られる。
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これがここ数年、LEDへと代わっているわけだが、この方式だと、どうしても照明分の厚みが出る。しかし「エッジライト型」は上下に配したLEDの光源を導光板によって全面に行きわたらせる方式。そのぶんテレビは薄くなりデザイン性の向上に貢献できる。しかも全面にLEDを敷きつめるよりコスト面でも優位だ。
ちなみに今回の出展でこの商品も、中国の最大手クラスの家電メーカーと商談が決まったという。
LEDの弱点を克服し
自然に広がる光を実現
さてここで、冒頭で述べた事実について思い返していただきたい。光が広がりにくいというLED照明の弱点を指摘したが、すでにロームはその克服を果たしている。同社のチップLEDやモジュールを用いて製造している、LED電球「AGLED(アグレッド)」シリーズは、従来の白熱電球と比べても遜色のない広配光性を誇っているのだ。

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同シリーズにはいくつかのタイプが揃っているが、そのうちの「3Dモデル」はLEDチップが樹脂カバー内部に立体的に配置されているのが大きな特徴だ。その結果、光が電球の横方向へも直接届くことから、配光角度190度という高水準の広配性を実現している(一般的なLED電球は配光角度120度程度が主流)。
さらに展示はなかったものの、日本国内で発売された新製品モデルは配光角270度、消費電力5.5ワットと広配光・省電力を実現。LEDチップは他社製品同様、平面配列だが、成形が難しい樹脂カバー(電球部分)に独自の特殊な光拡散加工を施しているのが特徴だ。「AGLED」に限れば「LED=光が広がらない」はもはや当てはまらない。

まさに“論より証拠”で、光は肉眼でしっかりと確認できるものであるだけに、「広州国際照明展覧会」においても数多くの来場者が白熱電球に匹敵する光の広がりに驚嘆していた。単に広配性が高いだけではなく、ムラなく自然なかたちで光が放たれる点が広がっているのも「AGLED」の大きな特徴だ。
しかも、こうしたハイスペックでありながら、一般的なLED電球と比べて価格設定が割安な点も特筆すべきだろう。電球の本体価格と消費電力の両面から比較してみると、使用開始から3年もたてば、電球形蛍光灯よりもコスト面で有利になる。