フランク ミュラーは、このレトログラード機構を60秒針や永久カレンダーの一部などに巧みに取り入れているが、次の二つはまさに「時の哲学者」の真骨頂である。

 一つは、楽しい時間は早く過ぎ、退屈な時は時間が止まっているかのように感じられる心理から着想して、不均等な時間と変則的な針の動きを導入した、機械式では不可能と思われるようなイレギュラー レトログラード アワー。もう一つは、2本の反復する時針がリレーしながら、昼と夜の時間を明確に二分して示す独創的なダブル レトログラード アワーだ。いずれも始めと終わりが常にある周期運動だが、その「一瞬の途切れ」に過ぎ去る時の貴重な姿が垣間見えはしないか。視覚的にも楽しい針の動きを追うたびに時間意識が覚醒するのは、フランク ミュラーのレトログラードならではだ。

ロングアイランド™
ダブル レトログラード アワー
オンとオフの切り替えのように、昼と夜では異なる過ごし方をすることから考案。時間も明確に二分し、瞬時にリレーと反復を行う2本の時針で表示。18KPG、ケースサイズ縦45㎜×横32.5㎜、自動巻き。410万4000円
トノウ カーベックス™
イレギュラー レトログラード アワー
各時間の長さは均等でなく、時針の動きも変則的だ。楽しく過ごす時間をゆったりとっている。レトログラード時針は7時に達すると、元の7時に戻る。18KPG、ケースサイズ縦50.4㎜×横36㎜、自動巻き。491万4000円
ラウンド レトログラード エクエーション パーペチュアルカレンダー クロノグラフ
1994年に初めて発表され、現行コレクションにも含まれるこの超複雑時計は、平均太陽時と真太陽時の差を表す均時差を永久カレンダーのレトログラード式月表示にプラス。18KCG、ケース径39㎜、自動巻き。837万円

 

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