時計宝飾展示会としては世界最大を誇るスイスのバーゼルワールドは今年で100周年。3月23日から30日の会期中に会場の内外で新作を発表した時計ブランドは実に200以上。品質が良くて価格もこなれ、ビジネスからオフまで活用できる良作が豊富に出そろい、まさに腕時計を手に入れる好機到来だ。
ヴィンテージの魅力を添えた
コンテンポラリーな複雑時計
世界最高峰ブランドに“コンテンポラリー・ビンテージ・スタイル”の永久カレンダー「5320」が登場した。インスピレーションの源泉は、ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムの展示品。ラッカー仕上げのクリーム文字盤、ラグに施された三重フレアのゴドロン装飾といったヒストリックなデザインが、複雑機構と魅惑のシナジーを生んでいる。
小窓に月と曜日、ポインター式の日付とムーンフェイズ、丸窓の閏年とデイ&ナイト。永久カレンダーの多様な要素をなんでもないことのように整然とレイアウトするポーカーフェイスが、時計の上級者をうならせる。サファイアのシースルーとゴールドの二重仕立てになった裏ぶたも大きな魅力だ。
問い合わせ先=パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109
新世代エル・プリメロは
機能が飛躍的に進化
ゼニスの攻めの姿勢は、根幹を成す異色の自社製クロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」に投入された最先端技術に鮮明に表れている。
「挑戦」を意味する「デファイ」と名付けられた今年の新作は、なんと通常のエル・プリメロの10倍も細かい100分の1秒の計測が可能な超精密な機械式クロノグラフで、時計としての精度も公的検査機関のCOSCが認定するクロノメーターという優秀なもの。磁気や温度変化に強いカーボンナノチューブで作られた特許取得のひげゼンマイも、目下話題独占中だ。こうした最先端の技術をヴィンテージ・スタイルのデザインと見事に融合させたところも新作「デファイ」の大きな魅力だ。
問い合わせ先=LVMHウォッチ-ジュエリー ジャパン ゼニス 03-5524-6420
過去からよみがえった名品から
遠い未来を思う一本まで
今年もバラエティに富んだ新作が発表されたハミルトン。コアな機械式腕時計ファンが間違いなく真っ先に注目するのは「イントラマティック 68 オートクロノ」だろう。1968年の名品“クロノグラフB”譲りのスタイルが、ブランド名もオールドロゴを用いてよみがえった。“逆パンダ”の愛称で呼ばれる黒バックに白のインダイヤルという反対色のセットアップは、さらにホワイト部分に退色効果を与えて、ヒストリック感をアップする。大胆なカットアウト文字盤が魅力のシリーズ「ジャズマスター オープンハート」はキャリバー“H─10”を新搭載し、パワーリザーブ性能も80時間と大幅アップ。42ミリにサイズを上げたケースに、新色のブルー文字盤が映える。「ODC X─03」は、ハミルトンが協力したキューブリック監督作品『2001年宇宙の旅』へのオマージュから始まった連作の第3作。
問い合わせ先=ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7371
腕時計の原点に通じる
伝説の「バナナ」が復活
今年はスイスのバーゼルで時計展示会が催されて100年という大きな節目。1917年の第1回から出展しているのがティソだ。そして、同時期の16年に誕生したティソの名作が「バナナ」の愛称で親しまれる有名な角型腕時計である。オリジナルモデルから100年を経て、今年発表された復刻モデルは、ティソがこの種の腕時計の先駆者だったことを再認識させる。そのタイムレスなデザインは今なお新鮮だ。
問い合わせ先=ティソ/スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7361