河野貴輝 ティーケーピー
代表取締役社長

「ITとリアルビジネスの融合」をコンセプトに、2005年に貸会議室事業をスタート。他社に先駆けて全国チェーンを展開し、業界最大手に成長したティーケーピー(以下、TKP)。

 河野貴輝社長はこう語る。

「もともとは、取り壊し予定のビルの空きスペースを活用できないか、と考えたのがきっかけです。当初は“社外会議室”としての利用が多かったのですが、バブル崩壊後に自社の研修センターを売却する企業が増え、新人研修用の大きなスペースが求められるようになりました。こうした企業ニーズに応えて徐々にビジネスを拡大し、今日に至っています」

 TKPグループが運営する貸会議室の数は673室4万3626席。利用企業数は全国で約7万5000社に上る。

最大のメリットは
「利便性」と「価格」

 事業の中核となっているのが、「TKP貸会議室ネット」。インターネットで全国の貸会議室を条件検索し、空室確認や予約ができるというものだ。現在は、企業研修やセミナーでの利用が中心。1日のアクセス数は5000件に上り、その8割をリピーターが占めるという。

「TKP貸会議室ネット」の画面 エリアや路線・駅、利用目的などで検索し、予約・申し込みをすることができる。予算や利用人数、利用目的などに合わせて、画面上で詳細に条件指定を行うことも可能。写真や詳細スペック、空室状況などをネット上で確認しながら、希望に合った物件を探すことができる。※画像をクリックで該当ページへ

 TKPが提供する貸会議室のメリットは、「利便性」と「価格」にある。掲載物件のすべてが「駅から徒歩5分以内」。価格も一人1時間当たり200円程度と、格安コーヒー1杯分の値段で利用できる。

「最大のポイントは、掲載物件がすべて直営であるという点。中間マージンがかからないので、価格を低く抑えることができるのです。全国に直営貸会議室のネットワークを持ち、便利かつ安価に利用できる。これが、お客様からの高い評価につながっていると思っています」

 多様化する企業ニーズに合わせた幅広いラインナップも、同社のサービスの特徴の一つだ。

 20~30席の会議室から、複数の会議室を持つビジネスセンターや大規模なカンファレンスセンター、さらにはホテル内のイベントスペースまでを幅広く展開。今春には、旧ホテルパシフィック東京の宴会場を利用した国内最大級のイベント施設「ガーデンシティ品川」を開業した。

 同社のサービスは施設のレンタルのみにとどまらない。運営サイトの一つである「TKP研修ネット」では、会議や研修に必要な研修プログラムや講師の派遣、ケータリング、各種機材のレンタル、交通機関や宿泊手配なども行っている。

「会場とサービスを提供し、ハードとソフトをパッケージ化することで、ワンストップ型の商品提供ができるようになりました。今後も、より安価で付加価値の高いサービスを実現していきたいと考えています」と河野社長は意気込みを語った。