国も助成金の支給を通じて生産性向上を促す

 労働力の確保に有効で労使紛争を未然に回避する役割も果たすというあしたのチームの人事評価システムだが、導入すればそれでよしといった類のものではないのも確かだ。人事評価システムを採用していない企業は負け組となることが確定的になっている一方で、「単に導入しただけでは、あくまで勝ち組の有資格者となっただけにすぎない」(高橋社長)。

 つまり、従来の慣習を打ち破って絶対評価による人材の時価査定を徹底することが肝心なのだ。それを実践している企業は着実に業績が拡大し、社員の給与も目に見えて増えているという。

 こうした成果型報酬によって企業の生産性を高めることを、国も積極的に後押ししようとしている。「人事評価改善等助成金」の新設がその一例だ。

「厚生労働省が2017年度から導入した制度で、個々の社員の能力や仕事の成果を賃金に反映させる人事制度を導入した企業に対し、所定の助成金が支給されます。まずは成果型賃金制度を導入すると50万円を受け取ることができ、その1年後に所定の3つの条件を満たせば、所轄の労働基準監督署に申請することで、さらに80万円の助成金が得られるという仕組みになっています」(高橋社長)

 具体的には、①生産性が一定程度改善している ②離職率が数ポイント低下している ③賃金が2%以上増えている−−−といった条件で、これら3つを満たせば、最大で130万円の援助を受けられるわけだ。なお、助成金の原資には雇用保険の積立金が充てられるという。

「2017年度は7800社に支給できる予算を計上しており、その枠内の助成で打ち止めですから、まさに早い者勝ちです。社員数が10名以上の企業は就業規則と賃金規定を明文化することが義務づけられており、それらを提出していないと助成金を受けられないので注意が必要です」(高橋社長)

 働き方改革によって時間外労働に関する規制が強化されれば、ただでさえ人を増やせない中小企業にとっては、倒産の危機にさえ直面しかねない状況となってくる。否応なく、生産性を向上させるしか術がないのだ。

 だとすれば、生産性向上に資する策として国がお膳立てした助成金を利用しない手はない。四半期ベースで絶対評価の人事評価システムを忠実に運用していけば、1年後に所定の3条件をクリアすることの一助となるだろう。

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