マテガイ捕りに挑戦

 さらに「穴に塩を入れてマテガイを捕る」という試みにも挑戦していく。マテガイのいそうな場所を、シャベルか鍬で5センチくらい掘るそうなのだが、まずマテガイのいそうな場所というのが、分かりそうで分からない。まさに干潟のモグラ叩きだ。

 米粒大のマテガイの巣穴が見つかったら、その穴に塩をひとつまみほど入れる。そして穴からマテガイが飛び出てくるのを待つ。巣穴を探す能力、飛び出たところを捕まえる瞬発力、ちぎれないように引っ張る適度な力加減が必要というから、けっこうゲーム性も高い。

 これをボンゴレっぽいスパゲティにして食べると、筋肉質の身がプリッとし汁の味も濃厚な特製パスタが出来上がるそうだ。

 このほかにも、自転車でというわけにはいかないが、電車や車で簡単にアクセスできるものも紹介されている。針金ハンガーでギンポを釣ったり、埼玉でスッポンを捕ったりと、ちょっとやってみたいと思える要素が盛りだくさんだ。

江戸前天麩羅における最高級食材、それがギンポ
今や絶滅危惧種にも指定されるスッポン

 特徴的なのは、このようなライフスタイルを送るうえでの、思想や信条といった固苦しさが皆無に見えるところだ。結構大層なことがいとも簡単にできるよう伝わってくるのは、童心あふれる筆致によるところが大きいだろう。

 インドア派の人も安心して欲しい。「自分でも、出来るかも」「でも、別にやらなくてもいいかも」「だけど、どんなものかは知っておきたい」という絶妙の三拍子が揃っている。夏休みの脳内アドベンチャーとしても、効果的な一冊だ。

(※画像提供:新潮社)

(HONZ  内藤順)

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