脳が音を聞く働きを
追求して生まれた機能

オーティコン
代表取締役社長
木下 聡

 オーティコンの補聴器の中でもハイエンドクラスの「アジャイル」シリーズは人間の脳が行う音の処理プロセスを追求して生まれた機能を搭載。音の方向を把握するのを助ける音空間認知機能2.0と脳が必要な音の細かな情報をより詳細に伝えるスピーチガードだ。音をより自然に脳に届けることで、会話をより楽に聞き取りやすくすることを目指している。

 ところで同社では、今年から補聴器を「みみとも」と呼ぶことを提唱している。そこには補聴器を「メガネ」のように日常的存在とし、難聴者のみならず社会全体の意識を変えていいきたいという思いが込められている。

 また、補聴器が「みみとも」として、より身近なものにしていくためには、「みみとも(補聴器)」自体の利便性を高めることも必要だ。

 「弊社の『みみとも』を使う方々より『会話が楽しくなった』と喜びの声をいただく一方で、なかにはテレビや電話の音を聞くときの不自由さを訴える方もいらっしゃいました。これを何とかしたかった」と木下聡社長は言う。

 

 その答えの一つが、テレビや電話の音を無線通信機器を使って直接耳に伝える「コネクトライン」システムである。

 ストリーマーと呼ばれるリモコンを首にかけておけば、テレビから離れていても、ストリーマーのスイッチを入れるだけで、補聴器にダイレクトに音が流れる。テレビの音量を最小値に絞っても音が聞こえるので高性能ワイヤレスホンとしても使える。電話の場合は、そのまま会話ができるハンズフリー電話となる。さらに専用のコネクターを接続すれば、パソコンやiPodなどの機器や、音楽端末からの音も耳からダイレクトに楽しめるのである。もはや健常者も羨むほどの先端ワイヤレスシステムである。

 さらに今春からは、高性能の「コネクトマイク」が加わった。いままで苦手とされた、大教室での授業や講演会なども、話者がこのコネクトマイクを付ければ、クリアな音質で声を拾い直接耳に届けるため、声や音に集中するストレスが減る。聞こえに悩む人のハードルがまた一つ下がった。

 この「コネクトラインシステム」は、同社の製品のいずれのグレードにも対応している。

 「ピープル・ファースト」。この理念の下に生み出されるオーティコンの「みみとも」。それは難聴者、健常者という線を越えた、誰もがふつうに獲得できる豊かな暮らしのためのキーワードでもある。

 今秋には、初めて補聴器を使う人のために開発された新製品も発売される予定だ。