スマートデバイスを業務革新に活用するアイディアがあっても、具体的にそれを実現する方法がわからない……というジレンマを抱える企業も多い。
そこで頼りになるのが、スマートデバイスを利用したシステムの開発運用に豊富なノウハウを持つNRIネットコムと、同社が提供する「モバイル会議」サービスだ。

野村隆志
NRIネットコム 常務取締役
Webネット事業本部本部長

 日本有数のシンクタンクである野村総合研究所のグループ企業として、インターネットを利用したWebビジネスシステムの構築や、Webマーケティングのプロデュースを得意とするNRIネットコム。日本のインターネット黎明期よりWebデザイン・制作経験を積み、基盤構築・運用を含めワンストップで提案できる総合力が強みだ。

 また同社ではWebサイト構築における豊富なノウハウを生かし、スマートフォン用アプリケーション開発やタブレット端末との連携が可能なECシステム構築など、スマートデバイス対応にも力を入れ、直近ではGoogleアクセスの解析ツールの正式認定も取得。それぞれの企業ニーズに合わせた独自システムの開発案件だけでなく、スマートデバイス用のソリューションをパッケージとして提供しているのも特徴だ。

 2011年1月より同社が提供開始した「モバイル会議」は、iPadを利用して会議のペーパーレス化を実現でき、これまでの「会議の常識」を覆すアイディアが注目されている。

事前準備の煩わしさを
ペーパーレス化で解消

 環境やコスト面への配慮からオフィスのペーパーレス化が叫ばれて久しいが、会議や打ち合わせの場では、今でもやむをえず大量の資料を配布している企業が少なくないはず。これは、決して無視できないコストといえる。かといってプロジェクターには、紙の資料と比較して細かい文字や図が見づらいという問題がある。

「モバイル会議」では、それぞれの参加者が持つiPadに無線LANで資料を配布。手元の画面で資料を見られるため、細かい文字を読み取れるのはもちろん、拡大や縮小といった操作にも対応している。会議の議長役となるユーザーの操作に同期して、まったく同じ画面が参加者のiPadにも表示されるという仕組みだが、紙の資料と同じように、気になる箇所があれば自由にページを行き来して参照することもできる。いわば、プロジェクターと紙、両方のメリットを兼ね備えているわけだ。

 操作が簡単なタブレット型のスマートデバイス(iPad)を利用するため、「PCの操作が苦手な役員の方などでも、すぐに使いこなすことができる」と語るのは、同社常務取締役でWebネット事業本部の本部長を務める野村隆志氏だ。

 会議のペーパーレス化によるメリットは、なにもコスト削減だけではない。もう一つのポイントが、情報セキュリティの向上だ。紙の資料では、どんなに管理を徹底していても、常に盗難・紛失による情報流出のリスクがつきまとうことになる。

 その点「モバイル会議」では、すべての会議資料データがサーバで一元管理されており、会議終了後はiPad側にはいっさいデータが残らない。iPad自体を紛失してしまっても、サーバ上の機密情報は安全というわけだ。もちろん、使用後の会議資料をシュレッダーで破棄するという手間とも無縁だ。

 また、資料データをサーバにコピーするだけですぐに会議を開始できるため、人数分の資料を印刷するといった、事前の準備作業が必要ない点にも注目したい。これには時間の短縮だけでなく、急なデータの修正や差し替えなどが発生しても、サーバのファイルを更新するだけで対応できるため、常に最新の情報で会議を行えるという側面がある。

 実際に、「モバイル会議」を導入している企業からは、紙の資料を配布していた従来と比較して、「情報の鮮度が上がった」と評価する声が多いという。