経営承継とは
経営そのもの

——経営承継の問題を乗り越えていくために重要な取り組みとは?
落合 企業が永続していく仕組みとして、ファミリービジネスは最適な形態だと思います。ファミリーという要素が入ることによって、所有と経営がしっかり受け継がれ、迅速な意思決定や、長期的な投資が可能になるからです。その承継には、早くからの後継者育成、親族間の紛争を防ぐガバナンスの整備など、長期的で戦略的な承継計画が必要です。ところが高齢の経営者でも、承継はまだ先のことと考えている方が多いですね。

安達 確かに経営承継では、後継者育成や次世代体制づくりなどが必要になり、最低でも10年ほどの期間がかかります。

 私たちは経営承継を「経営そのもの」と広義に捉え、経営者に寄り添いながら、長期間にわたり支援するコンサルティングを目指しています。支援する対象は企業経営そのもので、われわれはそれを「ゴーイングマネジメント」と呼んでいます。

 

——MURCの経営承継コンサルティングの特徴を教えてください。
安達 オーナー経営者における承継時の課題には、戦略の見直しや後継者育成などの「ソフト」、資本政策や組織再編などの「ハード」、家族間調整などの「ファミリー」、個人資産や株式の承継などの「資産承継」があります。資産承継については三菱UFJフィナンシャル・グループの銀行などに専門部署があるため、私たちが注力するのは資産承継以外の分野です。主に「継がせる側と継ぐ側の意識改革」に力を入れ、特に経営者満足(PS:President Satisfaction)を重視しながら、経営戦略作りなどの支援をしています。

 私たちのお手伝いしている内容を一言で言えば、"意思決定と実行の支援"です。意思決定とは、課題を抽出・選択し、優先順位を付ける計画作りのこと。実行とは計画の着手と浸透、結果を出すこと。これが意外とできていないケースが多いです。コンサルティングの語源は、ラテン語で「共に座る」こと。経営者と真剣に対峙し、時には第三者として言いにくいことも指摘しながら、共に経営課題を解決することを心掛けています。

 現在、そのための体制づくり、特にコンサルタントの教育体制の強化にも取り組んでいます。