社会人を含め
大学院志向も

 大学院充実の動きもある。「理系では、学部だけでは高度な専門性の獲得が難しくなっています」と安田氏も言う。事情は文系でも同様だ。専門分野のエキスパートとして活躍しようとすれば、学部だけでは不足な点が多いと感じる層が増えている。また、社会人が実証研究や最新理論の習得・構築を目指して入学するケースも少なくない。ビジネス等で得た多様な経験を生かし、学部卒院生に刺激を与える存在にもなっている。

 大学・大学院の進化について、「誰のための大学・大学院かという根本的な問いに根ざしています。従来、研究の場としての大学に重きが置かれがちでしたが、学生第一、教育重視の方向へと動いています」と、安田氏は感じている。

大人の視点からの
アドバイスも重要

 保護者として、進化を続ける大学のなかから、わが子にふさわしい大学を選ぶにはどうしたらいいだろうか。安田氏は「自分で進路を選択しなければ、入学後の意欲がわきにくい」と注意を促す。まずは受験生自身が、大学でどんな勉強をしたいのか、ビジョンを明確にすることが必要だ。「保護者は後方支援に徹して、大人の目からのアドバイスを与えてください」。

 とはいえ、大学の進化は著しい。保護者としても最新情報に接する必要がある。「オープンキャンパスなどには、ぜひ受験生と一緒に訪ねてほしい」と安田氏は勧める。チェックのポイントは、大学の規模によって異なるという。比較的小さな大学では、学生一人ひとりにきめ細かく接しているかを確認する。初年次教育の内容や習熟度別クラスの有無などをポイントにするとよい。一方、比較的規模の大きな大学は、各種制度が整っているほど面倒見がよいと判断できる。留学協定や業界研究など、規模のメリットを生かした多彩なカリキュラムについて、どれくらいの学生が利用しているのかも確認してみよう。

 奨学金や学費優待などの制度もチェックポイントの一つだ。どの大学も経済的な支援体制を拡充しており、探してみると利用可能な制度が意外に多いものだ。安心して学業に専念するためにも、押さえておきたい点といえよう。