良質な眠りに役立つ
寝具を選択するのも効果的

 さらに寝る4時間前以降のコーヒーや紅茶は駄目。アルコールも睡眠には良い効果をもたらさない。「寝付きは確かに良くなりますが、アルコールは体の中で比較的早く分解・代謝されるために、睡眠の途中でアルコール不足で落ち着かなくなってしまう状態、いわゆる“離脱症状”が出てしまうのです」。そのため深い睡眠が取れなくなってしまう。

 またお風呂は、ぬるめにしてリラックスすることが大切。人間が寝ているときは体温が低下する。つまり穏やかに眠りに就くためには、体温がスムーズに下がるようにすることが近道で、寝る前にちょっとだけ体温を上げてやることがコツなのだ。

 さらに、光の他に運動や食事も体内時計の調節に重要な役割を担っているため、規則正しい食事や適度な運動が、質の良い睡眠には大切になる。寝る直前にものを食べず、日中はできるだけからだを動かすことが肝要になる。

 また、睡眠環境を整えることも大切だ。枕とベッドを自分に合ったものに替えると、その効果は必ず体に返ってくる。良質な眠りに役立つ寝具を選択するのも効果的だ。

 「全般的に、日中の活動の満足度の高い人は、睡眠の満足度が高いという傾向があります。つまり昼間の時間が充実している人ほど、質の高い睡眠が取れている。睡眠不足に陥ると、前頭葉の重要な機能であるワーキングメモリの働きが低下し、パフォーマンスや記憶力が低下するという研究結果もあります。

どちらが先かというニワトリと卵の問題もありますが、日中の活動を充実させるためにも、質の良い睡眠への努力は重要なのです」

 本来休息とは、質の良い眠りで元気とやる気と集中力を取り戻すこと。私たちは日々の睡眠に対して、もう少し自覚的になる必要があるのかもしれない。