どうすればブランド価値が
共有されるかを追求し続ける

 このようなコミュニティ構築の変革が、ソーシャルマーケティングにも大きな変革を起こしつつあることは周知である。ジョンソン氏は、Facebookを活用したソーシャルマーケティングの展望について次のように述べた。

「Facebookのユーザーは全世界で8億人に上る。このうち5億人が毎日アクセスし、2億5000万人が毎日写真をアップロードしている。1人のユーザが持つ知人、およびその友人とのつながりは、100万人にもなる」(ジョンソン氏)

 もちろん、Facebookの生み出す100万人規模の人と人とのつながりは、マーケティングには大変魅力的な数値である。ただし、これら多くの人々に広告やキャンペーンの情報を届けることはもちろん、そこから新たな会話やコミュニケーションが生まれ、「情報に共鳴する人のネットワークをどれだけ構築できるかが重要」とジョンソン氏はその本質に言及した。

 Facebookで実施するキャンペーンに参加したファンのアクションと、そこから波及し、その先のファンの友人や知人との間でどのような会話が生まれるか、さらにはキャンペーンの内容や発信者のブランドに共鳴してくれる能動的なユーザーといかに深くつながるかが最重要であることを同氏は示唆する。

 つまり、これまでの広告は「人前で演説をするようなもの」(同氏)であり、コピーや画像などの表現力で人を引き付けることに重きが置かれていたが、一方でソーシャルメディアは「パーティーのようなもの」(同氏)であるという。ソーシャルメディアでは、“パーティ”(コミュニティ)に参加した人たちに自社の商品やブランドを語ってもらうために、どうすればそこで会話が生まれるのか、また、どうすれば価値やブランドの魅力がコミュニティで共有されるかを追求すべき、とジョンソン氏は強調した。

 とはいえ、数ある情報のなかからパーティーで話題に取り上げられる“花”になるためにはどうしたらよいのか。

 ジョンソン氏は、ソーシャルの世界で重要なことは、「トーンや雰囲気については別の考え方を持つこと」と指摘する。つまり、一方的に情報を伝えるのではなく、顧客のことを考え、「感謝しているトーンで接すること」がポイントだという。

「ソーシャルの世界では、誰かが新しいブランドを気に入れば、その情報が誰かに伝わる。Facebookにおいては、友人から聞いた情報は通常の2倍程度エンゲージメントが高くなることが分かっている。すべてのユーザーの意見を聞いて、そして誰も排除せず、調整し続けることが重要だ」(ジョンソン氏)

(構成・文/宮口貴志)