もちろん、ANAも指をくわえて見ているわけではなく、昨年秋、ベトナム航空に約120億円(株式割合で8.8%)を出資し、コードシェア(共同運航便)やマイルで提携。ベトナム航空は長年、日本航空と提携関係にあったから、ANAが“略奪”したと周囲を驚かせた。
提携後1年たった今秋からはさらにシナジーを出そうと、ベトナム~カンボジア便にもコードシェアを拡大した。今後は人事交流を深め、コスト改善などオペレーション改革にも取り組む。
もう一つ、アジア戦略の有力な打ち手が、傘下のバニラ・エアとピーチ・アビエーション、二つのLCC(ローコストキャリアー)の活用だ。すでに2社は台湾や韓国に飛ばしているが、ANAは東南アジアのビーチリゾートや世界遺産の街に、LCCを使って新規就航できないか探っている。
しかしこれにはクリアすべき課題が山積みだ。LCCは単一機材で短距離輸送に特化することでコストを抑え、利益を生み出すビジネスモデル。飛行距離は4時間半圏内の鉄則がある。日本から東南アジアに飛ぶとなればこの鉄則から外れ、成功するかは未知数だ。
それでも、「あれこれ考えている間にも、早くしないと外資LCCに市場を押さえられてしまう。中国がLCCを積極的に認可するようになったらアジアの勢力図は大きな影響を受ける」(片野坂社長)との考えから、次の一歩を急ぐ。
焦るようなANAのアジア戦略は吉と出るのだろうか。



