ANAのミャンマー進出が2度目の頓挫、アジア戦略にどう影響?日本はミャンマーに対して主に設備インフラの支援をしてきたが、ANAは航空人材の育成支援で同国との関係を強化する

ANAホールディングスは今秋、ミャンマーでの航空会社立ち上げを断念した。アジアの競合と伍して戦うため、新興国リスクに振り回されながらも、チャンスを貪欲につかもうと悪戦苦闘している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

「当初のもくろみよりも時間がかかり過ぎている。やめたくない思いはあるが、決断も必要だ」(片野坂真哉・ANAホールディングス社長)

 10月末、ANAはミャンマーで国際線専門の航空会社を立ち上げる計画を断念した。2016年3月に現地の大手財閥グループと合弁でアジアン・ブルーを設立。18年中の就航を目指し準備を進めていた。

 ところが「政権が変わり、計画の先行きが見通せなくなった」(ANA関係者)。同国では昨年春、歴史的な政権交代が行われたものの、政治や経済の改革が期待されたほど進んでいないことも指摘される。そうした影響もあってか、「就航の許認可の見通しが立たず、今回の手組みは終わりにせざるを得なかった」(同)。こうして合弁会社はひっそりと清算されるに至った。

 実はこれ、ANAにとっては2度目の頓挫である。13年夏にはミャンマーの航空会社に2500万ドルを出資し、同様に航空会社を立ち上げると発表した。しかし両社間で資本参加に係る交渉が難航。翌年、ANAは出資を取りやめ、計画は破談となった。

 それでも2度目のトライをしたのは、ミャンマーが「ラストフロンティア」だからだ。