日本航空(JAL)は7月25日、ベトナムのLCC(格安航空会社)、ベトジェット・アビエーションと包括的業務提携を結んだ。急成長する日本とベトナム間の航空需要を取り込もうと、両社は日本~ベトナム便と両国内便、さらにベトナム発着の周辺アジア各国便で共同運航(コードシェア)を行う予定だ。
実はこれ、近年激しさを増す「空の陣取り合戦」において、ANAホールディングスに“奪われた”分を、取り戻すためでもある。
JALは長年、国営ベトナム航空と共同運航していたが、昨年秋に解消している。ベトナムの国営企業改革の一環で、ベトナム航空の株が売りに出された昨年1月、ANAホールディングスがベトナム航空に約120億円(株式割合で8.8%)を出資して提携。共同運航などを始めたからだ。
あるJAL幹部は当時を振り返り、「うちが経営再建下で新規投資ができない間、ANAは東南アジアへの足掛かり欲しさに、出資によって駒をひっくり返した」と悔しさをにじませる。こうしてJALは次の一手として、新たなパートナーを選んだというわけだ。
ベトジェットはベトナム初のLCCで、効率的なオペレーションによる低運賃を強みに急成長しており、国内線シェアはベトナム航空に肉薄する40%超。国際線の便数はまだ多くないものの、米ボーイングの新型機を100機発注するなどして拡大を急いでいる。