そこで藤代編集長が勧めているのが、マンション管理士やコンサルタントなど、専門知識がある第三者の活用だ。現状の管理状態や契約内容についてのチェック、見積もり依頼時の仕様設定、見積もり内容の確認などを、管理会社とは異なる客観的な立場でサポートしてもらえる。管理会社の変更時だけではなく、日常の管理状態のチェックを行っている専門家もいる。
もちろん、第三者に協力を依頼する場合も、実務経験の豊富な専門家を選ぶことが大切だ。
情報の継続性を
保つ工夫を
さらに藤代編集長は、管理会社変更後の検証も重要と説く。
「検証をしなければ、その変更が本当に妥当だったのかどうかを判断できません。管理組合の役員は1、2年で交代するのが普通です。役員交代の際、情報の引き継ぎがきちんとできていないと、管理会社変更後の検証は難しくなります。役員会とは別に委員会を設置するなどして、数年にわたって、管理会社の選定から変更後の検証までを実施する方法が望ましいのではないでしょうか」
継続性に関しては、管理業務のあらゆる場面において重要だ。マンション管理会社の担当者も、人事異動などで数年に一度は代わる。その時に担当者による引き継ぎが不十分なら、管理組合と管理会社の関係性は途切れてしまう。マンション管理会社の情報管理体制もきちんとチェックしておきたい。
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国土交通省の「平成20年度マンション総合調査」によると、マンションの管理状況に対する満足度を左右する理由として、管理会社が大きな割合を占めているのがわかる。一方で、居住者である管理組合員の活動もまた、満足度を高めるための重要な要因だ(図)。マンション管理の主体は管理会社ではなく、あくまでも管理組合であることを認識しなければならない。
「マンションは自分たちの共同財産であり、管理が将来の資産価値を大きく左右します。そのことを管理組合で共有することが、快適な管理を実現する第一歩だと思います」と藤代編集長はあらためて強調した。