これまで1000社以上の中小・ベンチャー企業の人事評価制度の構築を支援してきた株式会社あしたのチームが提供している個人向け教育プログラム「あしたの履歴書講座」が一冊の本になり、刊行された。著者のひとりである高橋恭介氏(株式会社あしたのチーム代表取締役社長)は、「就活中の大学生や20代の若手社会人にぜひ本書を読んでもらいたい」と語る。『あしたの履歴書』を通じて、高橋氏が伝えたいメッセージとは?
⇒「Vol.2 田中道昭(立教大学ビジネススクール教授)」はこちら
新卒の就職状況は“超”売り手市場
それでも安心できない理由
株式会社あしたのチーム代表取締役社長
大学卒業後、興銀リース株式会社、プリモ・ジャパン株式会社を経て、2008年株式会社あしたのチームを設立。現在、国内外32拠点を構え、急成長を遂げている。
現在の新卒の就職状況は“超”売り手市場で、有効求人倍率は1.52倍(2017年9月)、失業率は2.8%(同)、大卒の内定率は過去最高など、さまざまな数字を見てもバブル景気のころを超えています。だからでしょう、大学生や20代の若者にアンケートをとると「大手企業に入りたい」という声が多数を占めています。
しかし、「大手に入れば安心」「自分の人生は安泰」という時代は、近い将来、必ず終わります。いまは、働き方やキャリアに関するパラダイムシフトが起こる直前の、極限に張り詰めた状況です。実際、学歴・偏差値社会で、そこそこ勝ち抜いて、あまり深く考えることなく大企業に就職した方ほど、入社後に目の間の仕事に対するやりがいや将来の目標を描くことができず、「自分はこの会社にこのままいて大丈夫なのか?」という漠然とした不安や焦燥感を抱えるようです。
終身雇用を前提とした年功給によって会社が社員の生活や人生を守ってくれる時代は過去のものとなり、これからは個々が自らの意思決定と行動によって、自分の市場価値、自分の賃金などを決めていく時代になります。
そんな個の力、個の働き方が問われる時代を生きる、これから社会に出る大学生や、就職して数年の若手社会人にぜひ手に取っていただきたいのが、私と立教大学ビジネススクールの田中道昭教授との共著である『あしたの履歴書』です。
目標をもてば
いまの仕事も楽しくなる
本書は、私の会社「あしたのチーム」が20代のビジネスパーソンを対象に提供している教育プログラム「あしたの履歴書講座」を書籍化したものです。
「あしたの履歴書」の目的は、端的に言えば「目標をもつこと」です。自分のキャリア上の目標を明確にすることで、その実現に向かって計画的・戦略的に物事に取り組むことができるようになり、いまの仕事が楽しくなり、モチベーションが上がります。また、仕事に対する信念や自信を深めることもできます。
ただし、そうした自己変革を起こすような明確な目標を設定することは、決して簡単ではありません。
そこで「あしたの履歴書」では、未来の目標設定の前に、過去のキャリアを振り返る「エンゲージメント・グラフ」や、現在のルーティーンな業務の重要性や価値を再認識するための「仕事の重要性再発見シート」「業務棚卸しシート」などを使い、過去から現在に至るキャリアの再評価を行なっていただきます。過去と現在のキャリアを肯定できてはじめて、自らの市場価値を高める目標設定ができるようになるのです。
人事ビッグデータの知見が
注ぎ込まれた実践的メソッド
あしたのチームでは、これまでに1000社以上の人事評価制度の構築を支援し、その過程で10万人以上の目標設定支援に関わってきました。そうした人事ビッグデータから得られた知見が「あしたの履歴書」には注ぎ込まれています。また、共著者の田中教授からは、彼がアメリカで継続的に学んでいるアクティブラーニングの最先端手法などのノウハウも盛り込んでいただきました。
本書の内容を実践していただければ、30年後という遠い未来の目標もリアルに設定することができます。その結果、日々の仕事への意識、取り組み方も劇的に進化し、ビジネスパーソンとしての市場価値も確実に向上するはずです。