京都府向日市に本社を置くプリントパックは、印刷通販の最大手。業界の常識を打ち破る低価格で高品質のサービスを展開、急成長を遂げている。「誰もが気軽に印刷物を」という創業者の情熱を具現化した同社は、「世の中のために尽くし、貢献し続ける」企業を目指している。

 プリントパックの創業は1970年、オフセット印刷の焼き付け分野からスタートした。86年にカラー写真製版業務を開始したが、当時はまだ印刷の一部門を担うだけの企業だった。その同社が、なぜ印刷通販の最大手に成長したのか。その根本には、創業者の「誰もが気軽に印刷物を発注できる世の中にする」という情熱があったという。

プリントパック
木村進治代表取締役社長

 まだ創業間もない頃、人材を募集するため高校を訪問すると、会社案内が必要だと言われた。そこで知り合いの業者に発注すると、印刷経費が200万円かかると言われた。当時、昼夜を徹して1年間死に物狂いで働いて、ようやく手にした経常利益と同じ額だった。

「先代(創業者)は、清水の舞台から飛び降りるつもりで会社案内を作ったのですが、そのとき同じ印刷業界で仕事をする者として、“印刷物とはこんなにも高価なものなのか”と理不尽さを覚えたそうです。その経験から、いつか誰もが気軽に印刷物を発注できる世の中にする、という目標が生まれたのです」。そう語るのは、創業2代目の木村進治社長だ。

 その機会は2002年に訪れた。まだインターネットが普及し始めた頃、ウェブを窓口としたインターネット印刷通販事業の可能性に出合ったのだ。最初は手探り状態で、注文も少なかったが、数ヵ月後に突然引き合いや注文が増えだした。それを見て、創業者は印刷通販事業に特化することを決意した。未知の領域への挑戦だったが、自信はあったという。

2011年に大規模工場を新設した新本社ビルが完成(左)、一番新しい生産拠点である千葉工場(右)