ANAはスキルコンテスト、
ホテルニューオータニは文章検定なども実施

 日常から旅の終わりまでを13のシーンに分けて、客室部門では、機内でのシーンにおいて、外国籍の社員が乗客になりきり、さまざまなシナリオに基づいて乗務員の英語での対応力をチェックする。空港旅客部門では、空港でのシーンにおいて、語学力を含めての“機転・機敏・気配り”の三つのスキルから成る“きばたらき”を見極める。

 各コンテストの成績優秀者には、それを認定するバッジが贈られる。

 国際会議が多く、訪日外国人客が多いホテルニューオータニでは、独自の英語検定試験と「TOEIC® Program」を連携、定期的な効果測定によって社員が英語を学び続けるモチベーションの維持に取り組んでいる。これによって「英語以外の分野で活躍すれば英語はできなくていい」という雰囲気から「ホテルパーソンである以上英語は必須」という共通認識が社内で醸成されているという。

 同ホテルで特徴的なのは、英語だけでなく正しい日本語でおもてなしをする必要性も重視し、日本漢字能力検定協会の文章検定を実施していること。また国際儀礼を学ぶためのマナー・プロトコール検定も導入している。業務が多忙で時間の限られた中、具体的な“宿題”を与えることで、効率の良いおもてなし対応力を育んでいるのだ。

レベルに合わせ3種のテストを併用

 これらの企業で、英語コミュニケーション力の向上のため用いられているのが「TOEIC® Program」だ。ホテル業界では、海外との連絡や会議で英語を必要とするマネジメントスタッフや、外国人ゲストに接客対応するスタッフに。航空会社では、客室乗務員だけでなくグランドスタッフや整備士まで、それぞれのレベルに合わせてテストを採用している。

 近年では「TOEIC® Listening & Reading Test」に加えて、英語力上位層に対しては「TOEIC® Speaking & Writing Tests」、またボトムアップには「TOEIC Bridge® Test」を並行して利用するという方法が取られるようになった。

TOEIC® Program」を継続的に受けることで、受験者は自身の成長を実感でき、モチベーションを持続することができる。それはホスピタリティ業界全体のおもてなし能力を向上させ、顧客の満足度が上がることにもつながる。今後、ますますホスピタリティ業界での「TOEIC® Program」活用が期待される。

世界最大の非営利テスト開発機関
ETSが作成するテスト「TOEIC® Program」

TOEIC® Program」は、米国の世界最大の非営利テスト開発機関ETS(Educational Testing Service)が開発・制作する、日常やグローバルビジネスにおける英語能力を測定するためのテスト。品質と公平性を理念に、各テストの制作には統計学者などさまざまな分野の専門家が携わり、特定の国や地域の文化的背景などに理解がなければ解答できないような問題は出題されないのが特長だ。

 例えば問題は、「TOEIC® Listening & Reading Test」では短文穴埋め問題など、文法・語句・構文の知識を問う設問があり、「TOEIC® Speaking & Writing Tests」では、指示されたテーマについて自分の意見を記述する問題が出され、「TOEIC Bridge® Test」では、日常的なシーンで使う身近な英語表現が問われる。まさに日常生活からグローバルビジネスまで、生きた英語力を測定するテストだ。

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出典:IIBC発行「TOEIC® PROGRAM GUIDE 2017」より
例題の正解:❶-D、❸-B

 ETSからの発表 
世界で使われているTOEIC® Program
BRICSの事例ー

TOEIC® Program」は、国際イベントでのボランティアの配置にも活用されている。ブリックス(BRICS)とはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国などの新興経済発展諸国の総称で、2009年以降、年次で経済協力について会合(サミット)を行っている。17年9月には中国で開催され、同国での17年最大の国際イベントとして注目された。

 こうした国際的なイベントの成功は、安全と保安を確保すること、そして接客などのサービスを十全に行うことにかかっている。

 中国でのサミットでは多くのボランティアが活躍したが、そこで必要となったのが英語のコミュニケーションスキルだった。BRICSでは、効率的にボランティアを評価し、英語力のレベルに応じて適材適所の配置を行う必要があり、その解決策として「TOEIC® Listening & Reading Test」と「TOEIC® Speaking & Writing Tests」が利用されたという。600人のボ
ランティアがテストを受け、そのスコアによって、適切なポジションに配置された。その結果、効果的な英語でのコミュニケーションが実現し、サミットの成功につながったという。

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