アカデミアからの転進で
大きなマーケットを目指す

 また、電子顕微鏡を大学や研究所などに営業するだけでは、今以上に大きな飛躍は望めない。そこで、日本電子が進出したのが、核磁気共鳴装置、電子顕微鏡の電子ビーム技術を応用した半導体製造装置や産業用分析装置、医用分析装置などの分野だ。

 栗原社長は、「当社のコア技術である電子顕微鏡や分析機器の開発で得た知見を武器に、半導体製造装置、医用分析装置、創薬分野向けの分析装置/サービスにもラインアップを広げ、民間企業への販売にも力を注ぐことにしました。19年に会社設立70周年を控えていることもあり、『70年目の転進』と呼んでいます」と話す。

 会社を発展させる上で、同社は各事業ユニットがそれぞれたこつぼ状に固まって、ばらばらに活動しないように組織改革にも着手した。今まで子会社としていた資材調達、サービスなどの事業を本社に統合し、会社全体の「見える化」を推進している。

 さらに、「YOKOGUSHI」(横串)戦略と名付けて、各事業ユニットや事業ユニットから生まれる応用分野などを統合したソリューションを提案するビジネススタイルを根付かせようとしている。同社が取り組んでいる東京大学、大阪大学、米イェール大学など国内外の大学・研究機関や企業とのコラボレーションによる「オープンイノベーション」も同戦略の一環として注力している。

 日本電子は、ソリューションズ・フォー・イノベーションをスローガンに掲げ、さらなる発展を目指す考えだ。