今、この工場はブルックス ブラザースの傘下となっている。古着のサウスウィックスーツを見ればおわかりになると思うが、ここの作りは欧州のスーツを着慣れた者からするとかなり無骨に感じるはずだ。
日本ではビームス プラスとワインレーベル フォー シップスがこの工場で別注スーツを作っているが、前者はその無骨さを生かし、後者はそれを中和した注文をしているといえよう。ビームス プラスはカジュアルドレスに向く作りとモデルを選択。ワインレーベルはよりおとな向きのビジネス服を目指したわけである。
ビジネスマンにお勧めしたいのは後者である。
サウスウィックのプリンストンモデルと名付けられたこのスーツは、ワインレーベル フォー シップスとのコラボによって生まれた傑作である。シップスの要請により、前身を狭く背中を広くとった日本独自のフォワードピッチ理論を取り入れて設計されたため、われわれのカラダに吸い付くような着心地と機能性を生み、ほどよく絞られた前ダーツによって立体感のある胸のドレープを形成している。
これならクラシコイタリアスーツを着続けた方も、またズン胴のトラッドスーツ(通称Ⅰ型)を頑固に愛する人も違和感なくビジネススーツとして愛用できるのではないか。
あまりのよさに筆者もこれを購入。以後試着レポートを報告したいと考えている。
取材協力/ワインレーベル フォー シップス 銀座店 TEL03-5524-2975