AIの進歩が
実用化をスピードアップ
「つい数ヵ月前までしゃべれていたのに、急にそれができなくなった患者さんの心理的負担は相当大きいはずです。親しい人たちに自分の声を覚えていてほしいでしょうし、家族や友人も患者さんの声を聞きたいと思っています。声はその人のアイデンティティですからね」(山岸氏)
音声認識・合成技術は、基礎研究の成果が出てから実用化されて市場に出るまでのスパンが短い。特にここ10年は、AI(人工知能)の研究も急速に進んできたこともあり、ますます実用化までのスピードが速まっている。
「昔は、音声機器に自分の声をしゃべらせる場合、大規模な音声データが必要だったので、数百時間、何ヵ月にもわたってスタジオで収録するのが主流でしたが、実際に発語などに障害を持っている人が長時間収録をするのは無理があります。しかし近年のAI技術などの進歩により、今では5分以内の収録で済むようになったのです」(山岸氏)
コエ技術の向上は医療分野だけに限ったものではない。
昨年7月、東芝デジタルソリューションズが開発を発表し、17年度中に製品化が予定されているというサービス「コエステーション」は、スマートフォンにコエステーションの無料アプリをインストールした一般ユーザーが、自分の声で例文を読み上げて録音すると自分のコエが作られ、それを元にスマホでテキストを入力するだけで音声合成を使って自由にしゃべらせることができるというもの。自分のコエは自分で使うこともできるし、(本人が許可をすれば)親しい人間が使うこともできる。



