「ただ優しいんじゃない…」叱らない志村けんが若手を育てた「たった1つのルール」【桑マン証言】志村けんさん Photo:Sports Nippon/gettyimages

『志村けんのバカ殿様』が放送開始から40周年を迎えた。放送初期から現場を支えた桑野信義さんに、コントの舞台裏と、志村けんさんの知る人ぞ知るリーダーシップについて秘話を聞く後編。プレッシャーに負けそうだった桑野さんを救った志村さんの言葉をはじめ、「ただ優しいだけじゃない」志村さんの「人の育て方」とは?【後編】(ライター 橋本未来)

>>『「1時間ぐらい沈黙するから…」志村けんの「バカ殿様」が新人を育てた納得のワケ【桑マン証言】』から読む

桑マンが「家老」役で悩んだとき
志村けんが語った「救いの言葉」とは?

――桑野信義さんは志村けんさんと『だいじょうぶだぁ』で共演された後、特番の『バカ殿様』にも出演されるようになります。こちらは特番でしたが、『だいじょうぶだぁ』との違いはありましたか?

 志村さんが座長で、スタッフも同じだったんですが、特番なので大掛かりなコントが多いんですよ。障子を破ったり、落ちたり、水を浴びたりね。あと、金ダライが痛いのよ(笑)。

 大掛かりなネタって、時間もお金も掛かるから、リハーサルができないんですよ。簡単な段取りだけして、すぐ本番っていう。それで一度、想定以上の水がドォーっと流れてきてね。身体ごとひっくり返るし、カツラもどこかへ飛んでいくし。軽自動車にはねられたんじゃないかってくらいの衝撃を受けて。それでも、志村さんやスタッフさんが大笑いしてくれているから「いや〜おいしいな〜」って思ってました(笑)。

――でも、家老役を引き受ける時は、相当なプレッシャーだったのでは?

 僕は最初は、側用人っていう家来の端役だったんです。けど、途中で家老役の東八郎さんが亡くなられた。次の家老役を誰にするかで、スタッフは大物の喜劇役者さんの名前を挙げたらしいんですが、志村さんが「桑ちゃん、やってよ」って。

 だけど、大御所がやられていた役を、そんな簡単には引き受けられないじゃないですか。それでかなり迷っていたんですが、志村さんが「最初はモノマネ、コピーでいいんだよ。音楽だって、そこからはじまるだろ」って言ってくれて。その言葉で気持ちがスーっと楽になって、やってみようって決めたんです。