新刊『心に届く話し方 65のルール』では、元NHKアナウンサー・松本和也が、話し方・聞き方に悩むふつうの方々に向けて、放送現場で培ってきた「伝わるノウハウ」を細かくかみ砕いて解説しています。
今回の連載で著者がお伝えするのは、「自分をよく見せることを第一に考える話し方」ではなく、「聞いている人にとっての心地よさを第一に考える」話し方です。本連載では、一部抜粋して紹介していきます。
必要なのは、「PDCAを回すこと」
ここまで、理解しやすく聞きやすい話し方をするための様々なコツをご紹介してきました。最後にお伝えするのは、上達するのに最も重要で、最も忍耐の必要なコツです。それは「どんなに嫌でもあなたが話している様子を録音してチェックする」習慣をつけることです。
ここまでご紹介してきたコツは、読んで知識を得ただけでは意味がありません。実践を重ねていくことで上達するものです。その際に必要なのは、ビジネスではあたりまえの考え方、「PDCAを回すこと」です。
話し方においては、例えば、文章をなるべく短くして話そうと計画を立てる(=Plan)。実際に話してみる(=Do)。自分の話し方をチェックする(=Check)。改善ポイントを見いだす(=Action)。この作業を繰り返していくのです。
そしてこのPDCAを回すのに必要なのが、チェックを行うために必要な録音作業なのです。ぜひ人前で話すときにこっそり自分のスマートフォンなどで録音し、あとで聞き直してみてください。
最初は自分の声そのものに嫌悪感が出るかもわかりませんがそこは我慢です。ただ漠然と聞くと嫌悪感が先に立つのですが、聞き直す際にテーマをしぼる(例えば文の長さだけ、無駄な口癖だけなど)ことで、ある程度自分の声質への違和感は気にならなくなってくるはずです。大丈夫、すぐ慣れます。聞き直して自分の修正すべきポイントに気づいたらそこからがスタートです。
気づくだけでも十分なのですが、より効果を高めたければ、一定の時間に何回その口癖を言ったかなど(例:○分で○回「あの~」を言ってしまった!)メモするようにしてみましょう。それを何度か繰り返していくと、間違いなく口癖は減っていきます。ちょうど、毎日体重をはかり、それをグラフにつけるだけで体重を減らせるというダイエット法の要領です。あまり深刻になりすぎず、ゲーム感覚で続けるようにしてみてくださいね。