圏央道の県内全線開通で
注目される格安な工業地平均地価

 なぜ茨城県では、このように企業立地が活発化しているのか。

 まずは都心から近いというロケーションの優位性がある。もともと関東平野の北東部に位置する茨城県は、県北部の山間部を除き、ほとんどが平たんな地形。安定した気候で住みやすい県としても知られ、多数の雇用を伴う工場新設に適している。

 また工業地平均地価が1万8500円/平方メートルと、首都圏100キロ圏内にありながら格安であることも大きい。

 さらに、交通インフラが整っていることも大きな理由だ。

 17年2月26日、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の茨城県区間が全線開通した。これによって、東名高速・中央道・関越道・東北道・常磐道・東関東道の6本の高速道路に、都心部を通過せずにアクセスできるようになった。“放射状”の物流に加えて“環状型”の物流が加わることで、利便性は格段に向上したのである。

 これと前後して圏央道沿線地域の企業立地が活発化している。同地域は都心から40〜60キロメートルという絶好の立地にあり、最近4年間で79件もの立地があった。引き合いは変わらず旺盛で、沿線用地は不足気味であり、特に現在はつくばJCTの西側区間で複数の工業団地(次ページ地図参照)の開発が進んでいる。

 また圏央道沿線地域の活発化は、茨城県全体への波及効果があり、茨城県立地推進室では「最近は圏央道沿線地域にとどまらず、より地価の安い北関東自動車道沿線地域などへの企業からの引き合いも増えてきております」という。

 圏央道は沿線地域の活性化はもとより、災害時には緊急輸送道路として大きな役割を担う基幹インフラである。昨年12月には、国において現状の暫定2車線の4車線化について22年度から順次供用していくとの見込みが示されており、更なる企業立地の促進が期待されている。