そんな老舗が、約90年以上の長きに渡って使い続けてきた定番の綿ブロード生地を復刻してくれた。筆者はこれを約1年ほど前に購入し着続けてきたが、すこぶる具合がよく、エシカルドレスの基本シャツとして推すなら、この100双綿ブロード(品名は遠州ヴィンテージクラフトクロスSOUSEKI)のレギュラーカラー、白と決めていた。
筆者はロンドンのターンブル&アッサーのビスポークシャツも贔屓にしているが、おもしろいことにこの老舗のシャツ生地も100番手双糸のブロードが主だ。どうやら世界の紳士は、毎日着る仕事シャツなら100番手双糸がマスト、という統一見解なのであろう。
残念ながらCHOYAのSOUSEKIはターンブル&アッサーほど華麗な色柄は揃えられていないが、日本の老舗ならではの長所がいくつもある。
まずこの生地は、静岡県の生地織り商に残っていた昔ながらのシャトル織機でゆっくり時間をかけて織られていることである。そのため洗濯を重ねても、すぐに生地が痩せて風合いがなくなることがない。スーツのごとく長期間愛用できる。高番手の糸を高速織機で織り上げる、薄っぺらですぐ小ジワのできる今どきのシャツとの大きな違いがここにある。
衿の裏側の作りや袖ボタンの位置にも工夫が施されていて、アイロン作業がやりやすく、アイロンの仕上げ映えがするのも嬉しい。
遠州ヴィンテージクラフトクロスSOUSEKIを使用したシャツは、既製品で3型揃えられているが、筆者のようにレギュラーカラーの前立て付きでフィット感はA体(中肉)とY体(痩せ型)の中間で、という注文には、パターンオーダーで応えてくれる。オーダー期間は約2週間。価格もリーズナブルだ。
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