中堅・中小建設会社が
積極導入

 i-Constructionを導入するためにはICT建機やICT対応機器を購入(レンタル)したり、要員を要請したりと、大きな初期投資が必要だ。「その分は回収できる仕組みになっている」(家入氏)ものの、中堅・中小建設会社では二の足を踏むかもしれない。

「中堅・中小建設会社でも積極的に導入しているところが少なくありません。国交省が主催する17年度『i-Construction大賞』の最優秀賞(国土交通大臣賞)受賞者は、北海道や島根県の小規模の会社が選ばれています」。i-Constructionのメリットにいち早く気付いた経営者は、会社の規模を問わず導入を急ぐ。

 i-Constructionに対応したICT建機は新人でも一定期間の研修で操れるようになる。そうなると熟練の技術は不要になるかといえば、「ベテランのオペレーターにとってはより短時間で精密な施工できるようになり、生産性を向上させることができます」(家入氏)。

 実際に導入した現場はi-Constructionをどう評価しているのだろう。グラフ(図表2)を見ていただきたい。3D測量やICT施工、出来形管理については90%以上の施工者が高い評価を与えており、投資額に見合う以上の成果を得ている様子がうかがえる。

 i-Constructionは、政府が力を入れるワーク・ライフ・バランスの推進にも役に立つ。建設現場の長時間労働の要因の一つとなっている、発注者への提出が必要な書類はICT土工の全面的な活用により検査書類を大幅に削減する。具体的には、検査日数は従来の人力から、移動しながら複数の測点でデータを受信するGNSSローバーなどに置き換えることで5分1のに短縮、計測結果を手入力で作成していた検査書類を3Dモデルによる検査に変えることで50分の1に削減する(※※)

 国交省ではi-Constructionの導入により、新3K(給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる)の魅力ある建築現場を実現し、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す社会「Society 5.0」を支えるインフラマネジメントの構築を目指している。

 i-Constructionに積極的に取り組むか、それとも先延ばしするか、経営者の判断が会社の命運を分ける。

国土交通省「平成29年度建設投資見通し概要」
※※国土交通省「建設現場におけるワーク・ライフ・バランスの推進」