ビッグデータの
活用に欠かせない
経営者の役割

 すでにビッグデータを活用し、企業競争力を高めている例は多い。ネットで書籍などを検索・購入する際、利用者の購入履歴や属性を分析し、お薦めの情報を表示するのも、その一例だ。また、顧客の購買行動を収集・分析し、顧客の嗜好に合ったクーポンを配布するスーパーや、各地のセンサーで収集した気象データを分析し、商品の在庫を適正化する食品会社など、ビッグデータを活用してタイムリーな意思決定と利益の向上に役立てている例は枚挙にいとまがない。

「ビッグデータは企業だけでなく、社会全体に貢献します。書籍販売やスーパーの例のように、ワン・ツー・ワン・マーケティングで消費者によりよい選択肢を提示できます。また、行政の効率化や学術研究の発展などさまざまな分野で効果が見込まれます」と有友氏は述べる。

 ビッグデータを活用して成果を上げるためには、解決すべき課題もある。ビッグデータに限ったことではないが、まず、データを活用して何をするか。経営層が明確な方針を持つことである。そして、収集・解析したデータを活用するノウハウの体系化など組織的な基盤づくりや、分析結果を経営層に的確に伝えられるコミュニケーション力と分析能力を併せ持つ人材の育成も重要になるという。

 その意味で、「ビッグデータをいかに活用するかは、ITの問題ではなく、まさに経営の問題なのです」とシュミットゲン氏は強調する。

 ビッグデータの活用を支援するシステムやサービスなども登場。スピーディな意思決定や顧客対応など、企業競争力の強化に向けて、ビッグデータの役割が増している。