「同じ30代男性でも、結婚記念日を当日思い出して花を買う人もいれば、花を飾るのが好きで定期的に購入する人もいます。『珍しいチューリップが入荷』というDMを送れば、前者にとっては迷惑ですが、後者にとっては有益な情報になるでしょう」
同社は過去の購買履歴だけでなく属性からWeb上の行動履歴まで1000万人以上の顧客に関連するあらゆるデータを分析し、行動パターンに基づいて分類。そのうえで、対象顧客に絞って働きかけることで、顧客との関係を強化し収益力を高めている。
先行き不透明な時代、
戦略策定を支える
分析力を磨け
今、社会や企業を取り巻く環境は大きく変化しつつある。業界の構造変化に直面し、新しいビジネスモデルを模索している企業も多い。また、グローバル化の進展により、従来のやり方だけでは立ち行かなくなってきた。先の見通しが難しい時代だからこそ、分析力を高める必要があると吉田氏は言う。
「市場のルールそのものが、気づかぬうちに変わってしまっています。以前の認識のままで戦略を考えると、取り返しの付かない事態に陥ってしまうかもしれません」
業界や市場の地殻変動を知るうえでもビッグデータの分析は有益だ。たとえば、ソーシャルメディアに溢れる消費者の声を分析することで、マーケットの変化の前兆をつかむことができる。あるいは、自社のすべてのデータ資産をサンプリングに頼らずさまざまな角度から分析することで、次の変化の波を予測することも可能だろう。変化の激しいグローバル時代において、従来型の「勘と経験」ではなく、客観的な根拠に基づく意思決定が一層重視されるようになった。
「こうした分析力を身につけるためにITは必須ですが、それだけでは十分ではありません。日々の業務のなかに分析のプロセスを埋め込むこと。企業全体として分析を重んじる文化を根づかせる必要があります」。吉田氏はこう説明する。
こうした取り組みを進め、分析力や予見力を高めようとする企業に対し、SASは強力なソフトウェアとサービスを提供している。吉田氏は「私たちは設立以来、分析に特化し、世界各地のお客様の経営課題解決を支援してきました。そこで蓄積された技術やノウハウを結集することで、分析から予測、最適化まで実現できるのです」と語る。
吉田氏の言葉には、実績の裏づけがある。SASのソリューションは世界中の企業の約5万5000サイトに導入されている。日本では1500社2300サイト。数多くの導入企業からのフィードバックを受けながら、そのテクノロジーは進化し続けている。ビッグデータという大きな潮流を受けて、分析ソリューションに対する企業の期待は高まっている。