最近の企業が抱えている課題といえば、たとえばグローバル化への対応がある。海外に進出する際、言語が障壁となるが、“目で見てわかる”ツールであるHIT法なら、万国の共通言語となって海外の人とのコミュニケーションを手助けする。グローバルサプライチェーン(世界的補給網)を体系的に可視化して管理することもHIT法なら可能だ。

 グローバルアウトソーシング(世界的業務委託)についても同じようなことが言える。業務の一部を中国などのアジア諸国にアウトソースする際、あまりよく考えずに丸投げしている例は多い。すると、アウトソースした業務の実態がつかめなくなり、いつのまにか相手に実権を握られてしまい、振り回されて、効率化どころではなくなってしまう。そうしたことも、業務を常に把握できるHIT法があれば防げる。

 情報システムに関しても問題を抱える企業は多い。キーワードは、既存システムの陳腐化解消や再構築をEUC化(エンドユーザーコンピューティング化)で推進することだ。情報システムの構築や運用をベンダーに任せきりにしてしまい、自分たちは全く把握できていないがために、割高なコストを払わされている。それもHIT法を使えば、前回(連載第5回)の八千代工業のように、業務の流れを整理・改善して把握したうえ、データ項目を抽出して情報技術者に提示できることで、短期間に低コストなシステムを構築できる。エンドユーザーが主導するシステム化が実現することになる。

・ムダを見つけだすマネジメント力
そしてもちろん、HIT法は人材育成や業務管理といったマネジメントにも役立つ。HIT法を使えば今までのムダな業務が改善され、30 %や40 %の生産性向上は必ず達成できる。グローバル化ももちろん大事だが、多くの企業は日本国内でもまだまだ競争力を持って戦っていけると言える。まずはHIT活動を通して生産性を徹底的に高める活動によって成される。