景気動向やマネーサプライによりファンドが立ち上がり、投資家から資金を募り、近代的な大型物流施設を建設する。その投資に対してのリターンを担うのは施設を使って物流サービスを提供する3PL(3rd Party Logistics)企業である。そこに仕事を依頼する企業は、自己資産を持たずに物流業務をサービスとして受け、依頼した分だけ費用として支払う。例えば、新しい商品を出したベンチャービジネスは、販売をネット経由で行い、注文の処理(調達、荷揃え、出荷、配送)を物流不動産の運営企業にアウトソースする。彼らベンチャーに欠けているビジネスプロセスを完璧にカバーしてくれるのである。最新の物流施設により、オペレーションの可視化、モノと情報の一体化が可能となり在庫削減、リードタイムの短縮などの業務効率向上とコストダウンにつながる。

「物流不動産」は差別化、業務改善と
コストダウンのインキュベータ

 現在の経営における成功の方程式は、コアコンピタンスにある。他社と差別化できる能力または経営資源を最大限生かして利益を上げる。一方で非コアな技術は外注することで、専門スタッフの人件費を省けるし、安くて良質なサービスを購入できる。この方程式に物流不動産も乗っている。

 コモディティ化のワナにはまった製品はサービスの差別化を指向する。顧客に早く、よい品質で届けるだけでなくて、在庫が少ないのに売り切れがない、不足していてもすぐに補充するなどのサービスがあれば差がつくことになる。移動中の在庫を把握するには、クラウド、RFIDなどのITの道具立てやピッキングシステム、自動倉庫、トラック誘導システムなどのハードとそれを守る高度なセキュリティが必要である。ITの仕組みだけではなくて、そのITへ入力するサプライチェーンのパートナーの有機的かつ俊敏な協力が不可欠である。その入力情報を生かすには、物流施設が情報に即応できる筋肉を付けてなければならない。

 物流不動産の活用のメリットは、この先進物流機能の実現で、さらに業務効率の向上とコストダウンにもつながることである。 例えば、最近の大型物流施設ではクロスドック型になっていて、従来倉庫のように商品をためず、すぐに仕向け地ごとに品揃えを行い輸送する。キャッシュフローの悪化、商品品質の劣化、市場のニーズ喪失などが減少し、コストダウンに結び付いている。

 今後、「物流不動産」の活用がさらに広がれば、自前主義は時代のかなたに追いやられて、経営資源を集中してコアを磨き、非コアは他社の協力を仰ぐことで成立する時代になろう。ますます、「サプライチェーンでのコラボレーション」に個々の企業の生き残りを懸けることになる。