雇用・産業創出に向け
新たな支援策を準備

 経済産業省は、新たな雇用と産業創出の施策として、グリーンイノベーションとライフイノベーションを柱とした成長戦略を打ち出している。

 グリーンイノベーションにおいては、新産業を育成するための支援措置として「低炭素投資促進法」が施行されている。低炭素投資促進法は、電気自動車、蓄電池、太陽光パネルなどの開発・製造事業者を対象とした金融措置だが、成長戦略では対象範囲を広げ、エネルギー制御装置や、省エネに寄与する素材、エネルギーマネジメントサービス、電気自動車の急速充電サービスなどの新たな成長分野を支援していく。

 一方、ライフイノベーションは、医療・介護・福祉機器の製造、育児・学童保育サービス、自宅介護サービスなどを応援し、雇用創出と消費の活発化、子どもの増加を期待している。同省では、技術段階から実証段階での金融措置などの法制度が閣議決定され、各省庁との協議のうえ、今国会に提出する方針だ。

都市間連携による
地域産業圏の形成

 経済産業省では、成長戦略の策定とともに、新しい時代の産業集積のあり方、それを進める政策について検討しており、その一つとして、産業集積地域の特長を生かして広域連携によるスーパー・テクノ・ゾーン(仮称)を形成し、産業集積を促進する考え方が議論されている。

 自動車、二次電池、太陽光パネル、航空機、エネルギーなど、先進技術産業が集積する国内各地域においてはイノベーションが進展しつつある。

 それらの産業資源を生かして、広域的インフラを活用した都市間連携の下、産・学・住(まちづくり)が一体化した広域産業都市圏を形成し、関連産業の集積を目指すものだ。企業、経済界、金融機関、大学などの民間の主導により、高度な人材育成、都市の再整備や産業機能の高度化、産業創出を図ることで、国際競争力、地域雇用・活性化を強化し、空洞化に対応するという考えである。

 グローバル化の進展に伴い、国内産業は研究開発型の事業構造へ変革が進みつつあり、企業は技術力の向上を支える高度な知識を持った人材を求めている。有能な人材の供給体制を整えるとともに、地域が持つ産業力を生かした誘致戦略が必要となる。