大量のデータを瞬時に正確に処理し、しかも24時間365日働き続けられるAIは、既存のビジネスモデルを変えるほどのインパクトを持つといわれる。このAIを、人間力が問われる営業という分野でどう活用すればいいのか。すでに多くの企業で導入されているSFA(Sales Force Automation)との違いと含めて専門家に聞いた。
![“営業管理”ではなく“現場支援”にAI活用を](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/200/img_1e63caf7b1a988a9e302135de9045621719419.jpg)
アイ・ティ・アール
シニア・アナリスト
営業力を強化するためにSFAを導入している企業は多い。商談の進捗・成否、目標の達成状況など営業プロセス全体をカバーし、属人的になりがちな営業プロセスを標準化するメリットがある。顧客情報を管理するCRM機能を持つものも多い。
しかし、SFAは実際に効果が出ているのだろうか。企業のIT戦略アドバイザーとしてコンサルティングや市場調査を手掛けるアイ・ティ・アール(ITR)の三浦竜樹氏は「SFAの導入効果があるところと、効果がないところがはっきり分かってきました」と語る。
SFAで解決できない
営業課題が明確に
同社は今年3月、SFA/CRM導入済み、あるいは導入予定の企業に対して調査を実施した。その結果見えてきたのは、SFAは、案件管理や顧客管理、営業現場や商談現場での顧客対応の見える化などでは効果があるが、提案力の強化や営業スキルの標準化といった面では効果が上がっていないということだった(図)。
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「多くの企業が営業の課題として、担当者ごとの成績の差や育成に時間がかかることを挙げています。しかし、現在のSFAではこうした課題を解消できていないといえます」と三浦氏は指摘する。
営業プロセスを標準化するといわれるSFAだが、プロセスよりもさらに一歩踏み込んで、実際の営業現場でどう対応するのかといった、経験や能力に裏付けられたスキルやノウハウまでは支援できていないのが実態のようだ。