東京湾岸タワマンには
アドレスごとの個性あり

城田 章
しろた・あきら
スタートライン経営企画部部長。
1978年長崎県生まれ。中央区、港区、江東区を中心に東京湾岸のタワーマンションの売買・賃貸仲介を行うスタートラインで、マーケティング、経営企画に携わる。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士を保有。

 湾岸物件を仲介して感じるのは、平均坪単価だけでなく、私見ですが住む人のタイプもアドレスによって全く違うということです。

 汐留は典型的な富裕層が多いのに対し、芝浦や港南は、いわゆる事業で成功したタイプの人に人気があるようです。月島・佃は、40〜50代で大企業に勤める人が多いという印象です。勝どきは、生活インフラの良さから子育てファミリーに支持されていますが、一方で企業も多く、職場の近くに住む経営者層や中国人ビジネスマンなども目立ちます。

 豊洲もファミリー層には人気のアドレスなのですが、年齢層が30代が中心と若い。どうやら23区では唯一の「ららぽーと」が、若年層を引き寄せる要因の1つのようです。「ららぽーと」のけん引力は、東雲にも及んでいて、豊洲に近く、8割程度の価格で買えるのが魅力です。

 有明は、他と若干異なります。間取りは広めの1LDK中心。若年の単身者や夫婦世帯が、豪華な共用施設でホテルライクな生活を楽しむイメージです。

 こんな東京湾岸のタワマンですが、実は今は、想定外の売り基調が続いています。東京五輪まであと2年。「値段が上がるのは2020年まで」という“予測”が、オーナーの間に過剰に浸透しているのです。実際、ここ2〜3年の湾岸の中古価格には頭打ち感があります。ならば賃貸に、とはいきません。賃貸契約が2年以上に及べば、五輪前までに売り抜けることができなくなりますし、2年未満の定期借家契約では、家賃の大幅値引きが必要だからです。

 また、築10年を超える物件も増えているので、大規模修繕を迎える前に手放そうと思うのもオーナーの心理でしょう。買い手側も事情をよく心得ていて、条件の良い物件が少しでも値下がりすると一斉に問い合わせが入ります。あと2年は、こんな綱引きが続くのかもしれません。

この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2018年5月24日号 新築 マンション 戸建て『首都圏 関西圏 中京圏 通勤を考えた街選び 「沿線力」と穴場駅』の詳しい内容は こちらからご覧いただけます。

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