巷には、政治の世界からマスメディア、そして民間企業のトップに至るまで、「独立系運用業者を規制しろ」「代替資産への投資を規制しろ」など、おおよそ世界の潮流の「間逆」のことを平然と唱える者が多く、唖然とするばかりだ。実際にやるべきことはその正反対である。

 3月27日には、浅川社長他が衆議院の財務金融委員会に参考人として出席したが、詐欺の意図がなかったとしながらも、運用報告書の虚偽記載は認めている。同社の行為は常軌を逸しており、その詐欺的行為については厳罰に処すべきである。

 しかし、この日、マスコミが取り上げたのは、浅川社長の年収など、本質を逸れたことばかりである。この特異な事例を契機に政・官・財の無知による安易な規制強化がなされ、日本の金融ベンチャーが壊滅し、国民の資産運用の選択肢が狭まり、運用難から年金制度が崩壊するだけでなく、企業に回るべきリスクマネーが消滅し、経済の停滞が長期化するような事態に陥らないよう祈るばかりである。

 以下、シンポジウムにおける論点を、4つにまとめて紹介しよう。

シンポジウムでは活発な議論が交わされた

論点1
年金側のガバナンスに関わる問題

 論点の第1は、資金を委託する側である年金基金のガバナンスに関わる意見である。

①年金基金の運用執行理事の形骸化:
年金基金の運用執行理事は、ほとんどが母体企業の人事労務または財務出身者で構成され、資産運用に知見がある者がいない(地引氏)。専門性のある人材を確保するためには、年金基金に一定の規模が必要であり、基金を統合していくなどの工夫が必要である(西村氏・堀江氏)。

②デューディリジェンス(DD)の不足:
そのような中、毎年の監査の有無など、ファンドの時価評価がちゃんと行われているかという投資家としてのDDとフォローが不足している(渋澤氏・門多氏)。

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論点2 運用側のガバナンスの問題

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