③利益相反問題:
信託銀行や生保など、事務受託を行なう金融機関が「総幹事」となり、事務代行などの見返りに大きなシェアを取っているが、受給者の利益との利益相反である。今回のAIJ問題では基金資金の5割超がAIJ投資顧問会社に委託されていたことが問題とされているが、それを言うならば、日本では年金基金の委託先が多くの場合、総幹事に一極集中していることも大問題である(地引氏)
④運用者側ではなく、委託者側のあり方を見直すべき(岸本氏)
⑤年金コンサル会社のチェック機能の有名無実化:
今回のケースでも、社保庁OBのみならず、いわゆる一流のコンサル会社も、ファンド運営会社の不正を見抜けなかった。しかも、これら年金コンサル会社は、ファンドから紹介手数料を受け取り、年金基金からもコンサル報酬を受ける「双方代理」を行なっていることがあり、これも典型的な利益相反である(地引氏)
以上のように、年金受給者に対して第1の受託者責任を負っている年金基金側のガバナンスを問う声が多数を占めていたが、筆者もそれは当然のことと感じている。
論点2
運用側のガバナンスの問題
論点の第2は、運用業者自身のガバナンスの再確認である。
①ファンド運営者は適時的確に情報開示すべきであり、そうでないファンドは自ずと淘汰される(江原氏)。
②ファンドは透明性を確保すべきであり、今回の企画もその一環。ファンドの運用資産規模に応じて規制を強化することはあり得る(藤野氏)。
③資産を預かる者は、説明責任を果たすべき(門多氏)。
このように、運用業者にも的確な情報開示が必要であるという認識も共有されたが、逆に、今回集結した運用業者は、そうしたことに日頃から敏感であったことの証左であり、独立系・非独立系を問わず、運用業者の志や行動規範が問われることになろう。



