昨年小池都知事が就任して以来、意欲的に取り組んできた東京都の成長戦略の一つが「国際金融都市・東京」構想だ。
この構想については、筆者は東京都顧問として知事や都庁職員らをサポートしてきた立場にあり、これまでも進捗状況に応じて、連載第72・75・81・82回で逐次説明を試みてきたが、その全貌が11月にも東京都から公表され、続く11月15日には小池知事がシンガポールでいわば「東京版金融ビッグバン」を宣言する運びとなっている。
そこで、今月と来月の2回に亘って、その内容を取り上げてみたい。
ただし、本稿執筆時点ではまだ公表前の段階であるので、最終提言では微修正が加わる可能性はあることをお断りしておく。本稿が、正式な発表があった時点以降、業界内外で建設的な議論がなされていくための参考になれば幸いである。
アジアの金融ハブとしての
地位を再確立する必要性
東京都が国際金融都市を再度標榜する背景には、成長戦略の必要性がある。少子高齢化の進展により東京都の人口も2025年頃を境に減少に向かうと見られており、それを乗り越えて経済成長を実現していかないと、激化する都市間競争に勝つことはできず、持続可能な都市にはならない。
また、東京都として直面する社会的諸問題の解決にあたっても金融機能が有効に機能することが期待される。