アミダスの強みは、企業のオーダーの本質をくみ取ることにある。例えば「このAという商品を格好よくしてくれ」という注文があっても、すぐに“絵”を描かない。「格好よくして会社の評価を高めたいのか、短期的な利益を生み出す商品を作りたいのか。そこを見極めないと、進むべき一歩が全く違ってくるのです」と熊本社長は説明する。

 同社はただのデザインファームではなく、顧客と一緒になって“同じ船”に乗りビジネスを一緒につくってゆく。その強力なアプローチの仕方は、MURCにはなかったものだ。

 「アミダスは、考え方やワードの使い方が非常にクリエーティブで、なおかつ見解そのものを出してくれる。例えば“価値観のバイリンガル”“休み方改革”という言葉。その発想が顧客に刺さり、私たちはその言葉をロジックで肉付けしていきます。アミダスは社内に制作機能も保有しているため、ビジュアル化を含めてこれまでMURCでは提供できなかったアウトプットも可能になりました。結果にまでコミットできるようになったのが、私たちの大きな強みです」と渡邉室長は業務提携の効果を語る。

自治体プロジェクトで
協業をスタート

5月19日にMURCの協力の下、東京で開催されたシンポジウムのテーマは、「50年後の社会予測からバックキャストによる地方自治体の戦略的な社会課題解決への挑戦」。アミダスの熊本社長もパネリストとして登壇、生活者にとっての豊田市の50年後を予測。モビリティーの発達で、"流動的な市民を市民として定義する"という独創的なアイデアを披露した。

 両社は現在、産学官で構成する豊田市未来都市研究会の「50年後の未来都市ビジョン策定プロジェクト」で、技術予測や社会課題変化などのトップダウンの落とし込みをMURCが、生活者動向や変化などのボトムアップでの検討をアミダスが担当し、新しい価値を生み出そうとしている。また並行して、大手小売事業者の未来ビジョン策定プロジェクトや、商業施設運営会社の中期経営計画策定プロジェクトでも、同じ役割分担で協業をスタートさせている。

 「解のないコンサルティングや、解だけのデザインで、ある種の閉塞感を覚えている企業にとって、両者をバランスよくサービス提供できる私たちは、有効な選択肢になると思います」と語る渡邉室長。今年度は協業プロジェクトを積み重ね、来年には両社で作り上げた新サービスをローンチする予定である。

問い合わせ先:
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
http://www.murc.jp/