セキュリティを「後回し」にしない経営者の意識がカギ
損保ジャパン日本興亜は、全国に約6000名いる営業職の生産性向上を目指し、全営業職にタブレットを配布したのと同時に「SecureBrowser」の利用を開始した。
営業職にとって、タブレットを使っていつでも、どこでも仕事ができる環境が実現するのはありがたいが、重要な顧客情報が流出しかねないことへの不安も大きかった。「SecureBrowser」の導入によって、うっかり端末をなくしてもデータが流出する心配がなくなり、テレワークが広く浸透した。それまでは会社で行っていた顧客情報を扱う業務が社外でもできるようになり、営業職にとって効率が良く生産性が上がる「直行直帰」の働き方が実現した。
また造船大手のMITSUI E&Sは、海外取引先と深夜・早朝の会議を行う社員が多いことから、「SecureDesktop」を導入した。
それまで、社員は自宅に大量の資料を持ち帰って深夜・早朝の会議に対応していたが、手持ちのタブレットやスマートフォンで自席のパソコンにアクセスし、そこに表示される資料を見ながら電話会議ができるようになった。海外出張の際も、タブレットさえ持ち歩けば、いつでも自席のパソコンを開くことができる。しかも、タブレットにはアプリが入っていないCADの画面も閲覧・操作できるので、会議やプレゼンがしやすくなったという。
このほか、働き方改革を推進するため「SecureBrowser」を採用した大分県庁など、官公庁の導入事例も増えている。
こうした導入の効果を得るために必要なのは、何よりも「経営者の意識」だと新井氏は指摘する。
「働き方改革やテレワーク推進をめぐる社内の議論では、労務管理の見直しに焦点が当たりがちですが、制度の支えとなるセキュリティ基盤をしっかり整えることも同じくらい大切なことです。
特に情報システム部などの専門部署がない企業では、どうしてもセキュリティは『後回し』になりがちですが、そこに穴があれば取り返しがつかない損害を生むリスクがあることを経営者は心得ておくべきでしょう。
テレワーク導入の際には『労務管理の整備とセキュリティの整備はセットで行なう』という考え方をまず持つことが重要です」(新井氏)