グローバル戦国時代に勝ち残る企業の条件

早稲田大学ビジネススクール教授、ローランドベルガー会長・遠藤功氏

 3番目のプログラムでは、早稲田大学ビジネススクール教授で、ローランド・ベルガー会長の遠藤功氏が「今こそ、現場力で立ち上がれ経営者」とのテーマで熱弁を振るった。

 最初に遠藤氏は、世界一の種類を誇るクラゲの展示で再建に成功した山形県鶴岡市立加茂水族館について紹介。館長をはじめとするスタッフ全員が現場起点のアイデアと知恵を出し、とことんまで個性的な水族館にこだわったことが勝因だったと分析した。今の時代は、中途半端な個性では際立つことはできず、「思い切った個性化」を目指さなければならない。

 そして、日本を支えてきた過去の成長曲線は終焉を迎え、それに代わる新たな成長曲線を描こうとする企業のみが勝ち残ると指摘。併せて、世界は「グローバル戦国時代」に突入しており、“優勝劣敗”“下克上”が起きていると述べた。

DAKS(上)やカール F.ブヘラ(下)の展示ブースでは実際に商品を間近に見ながら説明を聞け、来場者に好評だった。

 こうした局面では「平時の経営」はまったく通用せず、「動乱期の経営」に徹しなければならないと提言。これから3年間が勝負で、「組織密度」(一体感)と「組織熱量」(エネルギー)がキーワードであると訴えた。前者は密なコミュニケーション、後者は経営者の夢・志から生み出されると語った。さらに、「動乱期の経営」の要諦として、強力なリーダーシップなど六つのポイントを掲げた。

 また、日本の「当たり前」にこそ大きな価値があると指摘。宅急便をアジアで展開するヤマト運輸の取り組みや、新幹線の車内清掃をわずか7分で完璧にこなす鉄道整備株式会社などの事例を紹介した。

 なお、プログラムの合間の休憩時間中には、NTTドコモやDAKS、カール F.ブヘラがブースを出展し、来場者の関心を集めていた。

あきない総合研究所代表取締役、関西学院大学大学院教授、中小企業診断士・吉田雅紀氏

 最後に中小企業診断士の吉田雅紀氏が登壇。「ズバッと!課題と悩みに答える 社長のための経営なんでもQ&A 30分1本勝負」なるセッションがスタート。例えば「ティーチングを厚くしたら指示待ち社員が増えた」との悩みに対しては「それは経営者がたくさん指示しすぎるからでは?」とまず喝破し、参加者の笑いを誘った後、具体例を交えつつ解決策などを提案した。

 全プログラム終了後はホテル内の別会場にて懇親パーティを開催。来場者同士がコミュニケーションを深めた。

※登壇者の肩書きはセミナー開催時点のものです