がん、腫瘍免疫、免疫と不妊治療領域に特化したスペシャリティ・ファーマであるメルクセローノ(以下、メルク)の、日本市場での活躍に期待が高まっている。がん領域では、近年注目を集める免疫チェックポイント阻害剤を手掛け、複数の新薬の開発が進んでいる。不妊治療領域では医薬品だけでなく、生殖補助医療のトータルソリューションを提供している。その根底にあるのが、先進的な働き方改革の実施などイノベーションを育む社風だ。
治療困難ながん患者に
新たな治療選択肢を

メルクはサイエンスとテクノロジーのグローバルなリーディングカンパニーだ。本社はドイツ・ダルムシュタットにあり、①パフォーマンスマテリアルズ ②ライフサイエンス ③ヘルスケアの3ビジネスで事業を展開。2018年に創業350年を迎える世界で最も歴史の長い化学・医薬品企業である。
そのメルク本社のバイオ医薬品事業部門の日本法人は2007年に発足した。

アレキサンダー・デ・モラルト社長
「本社の350年の知見と精神を受け継ぎ、日本においては発足から約10年にわたり、がんと腫瘍免疫、不妊治療領域に特化したスペシャリティ・ファーマとして事業を展開しています」(アレキサンダー・デ・モラルト社長)。
重点領域の一つが「がんと腫瘍免疫」。東京は、メルクが世界に置く四つのハブと呼ばれる拠点の一つだが、北東アジアを対象とした研究開発拠点としても位置づけられ、複数の新薬候補の開発が進められている。
特にアジアでの罹患(りかん)率の高い胃がんや食道がん、胆道がん、肝細胞がんなどに対する有望な治療薬の開発を日本が主導して行い、アジア地域の人々の生活の質の向上に寄与しようとしている。
メルクで開発中のがんや腫瘍免疫の新薬は、治療選択肢が少ない難治性がんの分野も含まれており、いわゆるアンメットメディカルニーズにも対応するものとして期待が大きい。
近年注目を集める免疫チェックポイント阻害剤も手掛けており、その最新データは、2018年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)をはじめとして国際的な学会で発表されている。
「当社は、さまざまな難治性がんへの適応が期待される新薬候補を有しており、サイエンスの発展に貢献することに大きな期待が寄せられていると実感しています」(デ・モラルト社長)