カーエレクトロニクスで培った技術を
広大な周辺産業に転用

 経営の視点で見ると同社は、安定と成長の両輪がうまく回っていることが分かる。主力事業の「カーエレクトロニクスは(安定成長が見込める)ステディーな領域」(青木社長)であり、強固な経営基盤となる。

 大手自動車メーカーが参加する規格標準化団体「JASPAR」に主要メンバーとして加わり、自動車メーカーが描くカーエレクトロニクスの未来を同じ立ち位置で見ているという強みもある。

 一方で、カーエレクトロニクス分野で培った自動運転技術やAI(人工知能)技術、つながる技術といった最先端技術は、周辺の多くの産業に転用されており、目の前には大きな市場が広がっている。

 例えば農業機械。国内でも自動運転技術が搭載されたトラクターの導入が始まっているが、その制御を行うメインボードの開発なども実現に向け顧客と動き出している。

 顧客企業数は600社を超えており、自動車関連よりも圧倒的にそれ以外の産業の方が多い。これらの産業では、より完成品に近いものを提供してほしいというニーズが高まっていることから、半導体などのハードとソフトの開発力、モノづくりに関する技術力を高め、ODM(設計製造受託)サービスも提供していくことで、顧客のイノベーションをサポートし、自社のさらなる成長を目指す。

カーエレクトロニクス
次世代に向けての三つの柱

2020年を一つの目標とする自動運転、クルマが外の世界とつながるコネクテッド、EVを中心とする電動化。この三つのカーエレクトロニクス分野を柱とすることで、現在の「圧倒的な強さ」をさらに強化する