ここ数年でマンションに比べて割安感が出てきた建売住宅だが、マンション同様、大手デベロッパーを先頭に付加価値競争が始まった。どんな分譲戸建て住宅が狙い目なのか?

マンションとの価格差が
1000万円超にも

目黒孝一(めぐろ こういち)氏
不動産経済研究所で「日刊不動産経済通信」記者として活躍。調査部門で市場分析など各種調査を担当、同社常務取締役を経て退任後、フリーの不動産ジャーナリストに。日本不動産ジャーナリスト会議会員。

 ここ数年、首都圏の建売住宅の人気が上昇している。近年のマンション価格の高騰によって、建売住宅に割安感が出ているのがその理由の一つだ。不動産経済研究所によると、グラフのように首都圏の分譲マンションと建売住宅(10戸以上分譲・一部茨城県を含む)の平均価格の差は徐々に拡大中で、2017年にはその差が1000万円超にもなっている。マンションは中古でも値上がりしているため、自宅を売って新築戸建てに住み替える人も出始めているようだ。

 一口に首都圏の建売住宅といっても、郊外の2000万円台から、都心の1億円超えまで、さまざまな物件が年間5万戸強も供給されている。人気とはいえ、都心から30~40キロ圏の郊外になるとやはり需要は薄い。共働き世帯が増え、より利便性の高い都心にシフトする流れが続いているからだ。

 逆に堅調なのは、経堂・等々力・上用賀など都心エリアで開発されている1億円超えの建売住宅(10~20戸程度の分譲が中心)。この価格帯はもともと注文住宅が主流だったが、建て売りのデザイン性や性能が向上し、購入者の満足度が上がっている。ただ、一般的なサラリーマン世帯が買えるのは、親の援助があったとしても5000万~6000万円台が上限だろう。