信頼関係が重要になる
パーソナライゼーション

 そのデジタルマーケティングの分野で、今注目されているのがパーソナライゼーションというキーワードだ。消費者一人一人の購買傾向や趣味趣向を分析し、よりパーソナルなレコメンドをすることである。適切なレコメンドがあればカスタマーエクスペリエンスは実現する。ただし中途半端なパーソナライゼーションは逆効果になる。

「例えば、過去に買ったものの組み合わせで、単純に“これが欲しいでしょう?”と商品を提示されても、すでに興味を失っているケースがあります。新しいものを探して買う楽しみを重視する人に対しては、その趣向に合わせてレコメンドする必要があります。素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを提供してくれる企業になら、消費者は喜んでセンシティブなデータも提出するようになります。つまりパーソナライゼーションを成功させるためには、個別の企業が消費者の信頼を得ることが大切になるのです」

 AI(人工知能)の分野では画像や音声認識が進化し、店舗来場者の着ているシャツのロゴマークを認識し、ブランドの購買に結びつけるなどのマーケティングも出始めているという。いま企業に必要なのは、データがそろうのを待つのではなく、すぐ始めること。「失敗から学ぶことも多いため、現実的な一歩を踏み出すべき」と川辺氏はアドバイスする。